【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

【Ｄ】テスト後（学校内の放課後）
　テストを終えた瞬間、明里は両腕を投げ出した状態で机に突っ伏した。正面を向いていた両方の掌がかくんと折れ曲がる。頭部に装着した羽まで元気を失ったように見えた。
　息絶えたような状態から不規則に足を踏み鳴らす。
「テストでとても疲れたの。だれかあまぁ～いものくれたら、あかりは元気になるのー」
「わかったのだ。真央ちゃんのお菓子を分けてあげるのだ」
　予想外の声だったのか。ふぇ、と明里は顔を上げた。笑顔の真央が大粒の飴玉を机の端に置いた。
「真央ちゃんは急いで部室に行かないといけないのだ。またなのだー！」
「ありがとなのー」
　走り去る真央に向かって明里は叫んだ。そのあと、包装紙を開いて大粒の飴玉を口に入れた。片方の頬が丸く膨れた。口の中で左右に動かして最後は小気味よい音を立てて噛み砕く。
　物足りない思いが表情に出る。そうなのー、と声を上げて鞄を開く。中から揚げパンが出てきた。袋を破いて押し出した先っぽに齧り付く。満面の笑みで口をもぐもぐと動かした。
「揚げパンが美味しいのー」
　鞄を持って笑顔で立ち上がると残りを口の中に押し込んだ。冬籠りのリスのように両頬を膨らませて教室を出た。
　明里は腕を振りながら廊下を突き進む。
　あかり頭が弱い子だけど、みぃんなといっしょにおべんきょーできるから、学校はたのしーのー。
「揚げパンが美味しいのー」
　心の中の声は揚げパンの美味しさに即座に塗り替えられた。