【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　緊張感から解放された生徒達で教室は賑やかさを取り戻した。喜びと悲しみの声が入り混じる。
　その中、月詠は悠然とした態度で弁当箱を広げた。
「ほう、これはなかなか」
　ふっくらとした出汁巻き卵が均一に並べられている。銀紙に包まれたホウレンソウの胡麻和え。その隣には根菜類の煮物が鮮やかな色で収められていた。少し離れたところには一口サイズの寒天があり、中心には鮮度を保った果実が彩りを添える。
「バランスの良い弁当だ」
　通り掛かったすばるが横手から覗き込む。
「ちくわがないのは残念だけど、美味しそうなお弁当だね。テスト期間中にこんな手の込んだお弁当が作れる月詠ちゃんはさすがだよね」
「今回はメイドの作だよ。どれか摘まんでいくかい？」
「あまりゆっくり出来ないんだよ。生物部の皆とテストの点数を競っているからね」
　すばるはウインクして足早に教室を出ていった。その様子を漫然と目にして月詠は弁当箱に添えられた箸を手に取った。
　絶望は人の予想を裏切るのが大好きなのだよ。
　不穏な考えを頭に浮かべた状態で、いただきます、と月詠は手を合わせて言った。