【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　　　四限：地理
　恵御納夏朝の癖のある髪や垂れた目は一見すると眠そうに思える。机に広げられた教科書やノートは、その印象を易々と裏切った。声には出さないがノートを見ながら頻りに口を動かしていた。
　弾むような歩き方で担任が教室に入ってきた。夏朝は開いた教科書に顔を近づける。高速で口が動いて問題用紙が配られるぎりぎりまで粘った。
　地理のテストが始まる。夏朝は淡々とした様子で解いていく。小難しい顔で問題に詰まる時もあった。粘り強く考えて答えを書き込んだ。
　時間が過ぎて手を休める者が多く見られるようになった。その中に夏朝が加わった。
「……僕、がんばったよね」
　答案用紙に向かって言った。
　胸中では別の思いが込み上げてきた。
　――僕はトラウマなんかに、負けはしないよ。
　夏朝の茶色の瞳に強い思いが揺らめく。