【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　蓮は寝子高の前を通り過ぎて少し離れた桜花寮に立ち寄った。
「蓮君、おっはよー」
　クラスメイトの野々ののこが元気に現れた。頭頂から飛び出た髪の毛は勢いよく動いて、主と同様にどこか浮かれていた。
「ののこさん、おはようございます。とても機嫌が良いように見えるのですが、何かありましたか」
「テストの最終日だからね！」
「そういうことですか。それでは行きましょうか」
「そうだね！」
　二人は並んで歩き出す。ののこは蓮の方を向いた。背負ったケースに円らな瞳を向ける。
「蓮君の背中のものが気になる～」
「これは吹奏楽部の先輩から借りたヴィオラです。放課後、津止先生に指導していただく為に持ってきました」
　蓮は架空のヴィオラを持ち、弾いて見せた。
「ヴァイオリンの練習、頑張ってね」
　ののこは無邪気に笑って言った。蓮は相手の目を見て、やんわりと言葉を返す。
「はい、ヴィオラの練習を頑張ります」
「ヴァイオリンは素敵な音がするよね」
　ののこは陽気に弾く真似をした。独特なステップで回りながら演奏を続ける。
「素敵な一日になりそうです」
　蓮は目を細めて言った。