香りで癒しの一時を｜リアクション

香りで癒しの一時を

●ハーブで安らぎを

「ハーブティーですが、何になさいますか？」
　メニューを見ていた理紗子、庭園に戻ってきたモニカと万里に真珠が注文を聞く。
「わたしは疲れに効果があり、リラックスできるハーブティーを」
　どれが効果的かわからないので、理紗子は真珠に任せることに。
「疲労回復にはローズ、リラックスにはラベンダーが良いですよ」
　ローズには過敏になった神経を鎮め、前向きな気持ちにさせてくれる効果があることを教えてくれた。
「ローズとラベンダーのブレンドはいかがですか？　甘酸っぱいストロベリー風味で飲みやすいですよ」
　自分の症状に合いそうだと、と理紗子はそれに決定。
　モニカは、自分の症状を和らげてくれるものを見繕ってほしいと頼む。
「最近、休んだ感じがしなくて。だるくて、ほんやりしてしまうこともあるの。クセのないものをお願いできるかしら？」
「わかりました。お仕事はデスクワークでしょうか？」
「まあ、そんなところね」
　万里は、先程買ったレモングラスに。
「かしこまりました」
　待っている間、モニカは店内のポプリや茶葉を物色。
（お店にあるポプリ、香りでリラックスできるわ。お茶が美味しかったら茶葉を買っていきましょう）
　万里は真珠オススメ以外で良さそうなハーブを探し、理紗子は庭園の植物を眺めていたがウトウト。

　それぞれの時間潰しの間に、真珠がハーブティーを淹れたティーカップを載せたトレイを持って来た。
「お待たせしました。ローズとラベンダーのブレンド、アイブライトとリンデンフラワーのブレンド、レモングラスです」
　３人は飲む前に、ハーブティーの香りをじっくり楽しむことに。その後、ゆっくりと口の中へ。
「少し酸っぱいですけど美味しいです」
　ローズの甘酸っぱさで心身の疲れが癒えるような気分になった理紗子。
「自然な甘みが飲みやすいわ。クセもないし」
　もう一口飲んでから、じっくり味わうモニカ。
「先程のお話をお伺いしたところ、精神ストレスだけでなく、眼精疲労もおありのようでしたので両方緩和するブレンドにしました」
「これ、精神ストレス緩和と眼精疲労の効果があるのね？　最近、目も疲れがちだったからちょうど良いわ」
　症状だけで自分に合ったお茶を淹れてくれた真珠の気遣いに、モニカは感心した。
「味もちょうど良い甘さで飲みやすく、癒されるようだわ」
　仕事に追われているうちに、いつの間に、外はこんなに肌寒くなったのだろうか。
　季節の移ろいを感じられないほど、モニカの仕事は忙しかった。
「窓の外の庭の草花もすっかり秋めいた雰囲気ね。仕事なんて忘れて、いつまでもこうして穏やかに過ごせたらいいのに、なんて思ってしまいそうだわ」
「わたしもそう思います」
　来店前より落ち着いた気分になった理紗子も同じ考えだった。
　万里は、レモングラスを飲み終えると頭がスッキリした気分に。

　帰り際、モニカは今日飲んだアイブライトとリンデンフラワーのブレンド茶葉を買うことに。
「これ、いただくわ。お茶ごちそうさま。ぜひ、また素敵な時間を過ごしに来させてもらうわ」
「そう言っていただけると嬉しいです。あ、これ……お茶を淹れ方のメモです」
「ありがとう、参考にさせていただくわ」
「これ、お土産です。私が作ったお菓子です」
　そう言って、真珠は理紗子にカスタード色、モニカに薄紫色、万里に緑色の紙袋を手渡した。
「お店の試食品として用意したものです。お口に合うかどうか……」
　３人別々ということは、それぞれの症状を考えて用意したのだろう。
　真珠の気遣いに礼を言い、３人は揃って店を出た。

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