香りで癒しの一時を｜リアクション

香りで癒しの一時を

●気分を変えて出かけよう

（俺の場合、ケアレスミスが唯一の注意点だ）
　中間テストが近いので八神修は唯一の欠点に気を付けながら勉強を……というが、休憩で原書の推理小説を読むことも。
　ほんの数ページだけ読むつもりだったが、気が付いた時には終盤まで読み終えていた。
「また、やってしまった……」
　集中力がありすぎるのも困るな、と苦笑。
　自室で勉強するのが逆効果なのかもしれない。そう思い、気分を変えて別の場所で勉強することにした。
「クラスの女子が、星ヶ丘にあるハーブのお店の話をしていたな。お茶しながら勉強するか」
　そういうのもいいだろう。思い立ったら即、行動と本と問題集を手にし、さっそくそのお店へ。

　修が自室で勉強しているとの同時刻。
　桜月が自室でデザイン画を描いていたら、メイドとして働いている北条冬華がアロマオイルを焚いてくれたことがあった。
　それがすごく良かったので、月は、今後も香りで部屋を彩りたいと冬華に言った。
「気にいってもらえて嬉しいです。『Herb&Tea Shop MOEGI』というお店で買ったハーブで作ったものなんです」
　冬華が「そのお店に行ってみませんか？」と誘うので、興味が湧いた月は、それに応じて出かける準備を。
「すぐに行こう。今日は天気が良いな……日焼けをしないよう長袖にタイツ、日傘と日光対策をしっかりとして出かけよう」
　冬華に支度を手伝ってもらい、外出準備を済ませた月はどことなく楽しそうだった。
　
　３時のティータイムは子供の頃からの習慣。
　今でも３時に紅茶を欠かさない橘舞は、ハーブとポプリを選びにMOEGIに来ていた。
　コーヒーはどうにも口に合わない、苦いのが少し苦手、ということもあり飲まない。
　紅茶派の舞だが、たまにはハーブティーをと思い立ち、友達から紹介してもらったこの店へ。
「茶葉入れに使われているこの瓶、とても可愛いですね」
　手に取り、ハーブティーの茶葉が入った瓶やポプリをじっくり観察。
「お茶はラベンダーとカモミールにしましょう。ポプリもいただいていきましょう」
　茶葉が入った袋とポプリの瓶を手にし、レジに向かう舞を見かけたのは、テスト勉強やら事件やらでちょっとお疲れ気味な小山内海。
　彼女もこの店の話を聞き、興味を持って来たのだ。
　持ち歩いている筆談用のスケッチブックに会話を書き込み、背後に回り込んで肩をポンと叩いた。
『こんにちは。舞ちゃん』
「ごきげんよう、海さん」
『舞ちゃんもハーブティーを飲みに来たの？』
「紅茶派なのですけど、たまにはハーブティーと思いまして。ご一緒にいかがですか？」
『うん』

　舞と海がハーブティーの話をしている時、修は庭園に向かって歩き出した。
「良い香りだ……いろいろ植えられているんだな」
　庭園には。季節に合った様々な植物やハーブが植えられていた。
　微風が運んできた植物の香りに心が落ち着いたような気分に。
　庭園にあるテーブルにつくと本を紐解いたり、問題集に目を通したりしようとしたが、その前に飲むハーブティーを決めることに。
「ご注文、お決まりですか？」
　店内で仕事をしていた真珠だったが、メニューを見ていた修に気付き庭園に。
「季節に合ったティーを頼む。何が良いかな？」
「そうですね……カモミールはどうでしょう？　飲みやすいですし、今日のお勧めハーブティーなんです」
　今日のお勧め、季節に合ったティーと知った修は、それを注文することに決めた。
「それと……ティーに合った菓子があれば、２つばかり頼むよ。ハーブクッキーあるかな？」
「お店に試食のハーブクッキーがありますが……それでよろしければお持ちします。私が作ったんです」
「お菓子作りが好きなのか？」
「ええ、まあ。お店に出せるお菓子をいろいろと作っているんです」
　頑張っている真珠の話を聞き、偉いなと感心する修。
「じゃあ、それも頼む」
「かしこまりました」

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