触手ガールの憂鬱｜リアクション

触手ガールの憂鬱

●新たなる獲物

　次にボンキュボーン子と絡み合う碧南の元を通りかかった不運な犠牲者は、北条冬華、その人であった。

　冬華もシーサイドタウンを私服姿で歩いていたら何かキラキラしたものが降ってきて、気付いたら左手がぬるぬるの触手になっていたのだ。
　まさに不運以外の何物でもない。アンラッキー。今朝出かける前に、天気予報と今日の運勢をしっかり見ておくべきだったかもしれない――

「えっ。な、なんで……。私の身体がこんなのに……？」

　と慌てふためきパニックに陥っていたら、運悪くボンキュボーン子と絡み合う碧南の触手にぬるりと捕らえられてしまった。
　ぬるぬるの触手が冬華の身体に絡みつき、這いまわって、締めあげる……

「な、なんですか？　いやぁ。ヌルヌルする……」

　以前にも触手に襲われた経験のある彼女は、触手は大の苦手だった。
　こんな災難に遭うのはもう勘弁だと思っていた所の受難である。これはもう不幸体質といってもいい状態なのではないだろうか。
　なにはともあれ、必死に抵抗を試みるものの、変なところを触られたり、巻き付かれたり服を斬られたり……散々な目にあわされてしまう。

「誰か助けてぇ！」

　冬華の声がシーサイドタウンのビルの間に響く。
　そして、それを聞きつけてそこへやってきたのは――