触手ガールの憂鬱｜リアクション

触手ガールの憂鬱

●恐怖の始まり

　その日――

　その時その瞬間まで、寝子島はいつものように平和だった――
　
　近代的なビルが立ち並び、とかく牧歌的に思われる寝子島にあっても都会的なたたずまいを見せるシーサイドタウン。
　その空にキラキラと輝く雪のようなものが舞っている……
　前触れもなく降ってきた『それ』が人々に触れた時、仮初めの平和は脆くも崩れ去った。

　絹を裂くような悲鳴があちこちで響き渡る――

　にょろにょろにょろにょろ。

　そこには、体の一部をタコのような触手へと変化させた人々が、己の身になにが起こったのかを理解できずにただ右往左往していた――

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