触手ガールの憂鬱｜リアクション

触手ガールの憂鬱

●びびーっと巻きとるアレ

「なんじゃとてえええええ！！！」

　そこにやってきた不運な犠牲者は、フラメンコ教室から帰宅途中だった絹織真由良である。

「何で女の子が触手責めにされてるんだ！？」

　目の前に繰り広げられているのは、ボンキュボーン子に絡め取られた碧南のあられもない姿だ。
　しかも、その触手の乱れた様に反応するかのように、真由良の尻からも気味の悪い触手がにょろにょろと伸びて出て来たではないか。
　その様子はまるで意志を持った尻尾のようで、真由良の意志に反し、目の前の碧南の肢体へとうねうねと伸びていき、真由良の触手に絡みつかれた碧南が艶っぽく声を上げる……

「……ってこのエロ触手、さっきからおっぱいばっか攻めてやがる！？」

　ぬるぬるの粘液で肌に張り付いた服が透けて下着が見え……

「やめろ！　そういう事はちゃんと順序を踏まえて……ああもうっ！　やめなさいよ！」
　
　自分の意に反して勝手な蹂躙を繰り広げる触手を前に、真由良はビシッと強く言ってやった。
　そのきつい叱責にビクッと反応した触手は碧南を開放し、にょろにょろとバツが悪そうに真由良の尻の中へと巻き戻っていく……
　その様子はまるで掃除が終わって巻き取られる掃除機のコンセントプラグの様であった。

　見れば、真由良の触手は引っ込んだものの、碧南は自分自身の触手とボンキュボーン子の触手による絶える間のない責めに疲れ果ててぐったりしている……
　服はもうその役目を果たしているとは言えないような状態だったので、不憫に思った真由良は自分の上着をかけてやる。
　
　「……あっ」
　
　その時、碧南と真由良の視線が絡み合った――

「あ、あの……え～っと……ご、ごめんなさーーーい！」

　プレッシャーか、それとも何かを察したのか、思わず真由良は碧南を置いて、脱兎の如く逃げ出してしまった。

　良い所でせっかくの獲物を逃がしてしまった碧南は心の中で舌打ちをすると、次なる獲物を待つことにした。
　『それ』がここへやってくるのも、そう時間のかかる事ではないように思われた。

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