餃子の闘将｜リアクション

餃子の闘将

　ロシィ・イシロは、父親とギョーザフェアに来ていた。
「パーパと一緒にギョーザフェアに来たぞ！」きらきら瞳を光らせ、ロシィはあたりを見回す。
　無表情な彼女も、心なしかはしゃいで見えた。
「どれもおいしそう！」

　それを見て目を細めるのは父親。
　仕立ての良い背広をりゅうと着こなし、外套に身をつつみ、白髪をぴったり撫でつけている。
　顔には彼のたどってきた人生が皺となって刻まれていたが、それでもくたびれた様子などはない。
　愛娘に笑顔を向ける彼は、舞台役者のように様になっており、青年のように力にあふれていた。
　彼の力の源泉はもちろん、愛する家族だ。

「あ、このギョーザ見たことない！　知らない！　これも食べたい！」
　はしゃいできょろきょろ目移りする。
　時に永久凍土のように無表情な彼女、しかし今日はちょっと高揚している。
　まるでロシアの白銀狼のように、食欲旺盛なロシイ。
　中でもお目当ては、お肉である。
「ロシィはお肉がいっぱいなの食べたい！」
　お肉マシマシなもの、巨大系に目をつけて、わしわしと平らげていく。
「ふくーすな！（おいしい）」

　夢中で食べていると、パーパが東洋人の夫婦と和やかに話している。
「一杯だけお呼ばれしてくるから」と、パーパは卓につく。

　ちょっと寂しいが、パーパもいろんな人と話がっているのかもしれない。
　そうしてあたりを見ると、やはりちょっと手持無沙汰気味の優芽を見つけた。

　オトナたちはオトナたちで、楽しんでもらうのもわるくない。
　