餃子の闘将｜リアクション

餃子の闘将

　これこそまさに、餃子百万個！
　たちまちのうちに、各方面の餃子が消費されていく。
　手伝いを買って出た綾花も、八面六臂の大活躍、てんてこ舞いである。

「餃子の残りは？」
「……十分！　十分あります！」
「何？」

　ちねちねちねちね。
　なんと、餃子の魅力に取りつかれた男たちが、食べるに倍する勢いで、餃子を作成していたのだ！　

　ペリペリ皮のロシアのペリメニ、
　桜じゃないうよトルコマントウ、
　コーメイ由来の魔道かマンドウ、
　カレー風味のアジアのピエロギ、
　鶏肉とチーズで血がタキートス、
　モンゴル正月仏風ホーショール、
　乳茶にたっぷり嵌っトイショル、
　メキシコチーズパナイエパナタ、
　ネパール吐蕃モモ尻桃っぱい！
　モンゴルではないスカルボーズ、
　ベトナム春巻バンクンパックン、
　インドで熱々サモサ冷まさせ！
　擦りに擦られ五段ゴダンバロデ、
　暗黙の知性、そりゃポランニー、
　彷徨う青いそりゃブリッツ……。

　矢継ぎ早に現れる世界の餃子。
　修の的確な指示で、よどみなく料理を完成させるコック。

「中国発祥のものの伝播はこう……。
　独自発生の物がこう……」
　百科全書の如き、修のデスクトップとタブレット。
　あらゆる餃子が行き交い、脈動し、循環する。
「小麦粉の皮で包む調理法は世界共通なのか……。
　スイーツ系のは含めていいか、悩むな……」
　
　スイーツ系餃子ということで、チョコレート入りの餃子を頬張る流。
　手すきのコックに話していたら、意気投合して一品作ってもらったのである。
　その間にも、様々なスイーツ系が完成していく。
　多種多様なチョコレート、そのほか、そのほか。
　旨い。思わず心和ませるひと時だ。
　
　傍らでは小型餃子をちまちま作る露草。

「餃子の闘将ですか……最近噂になっていますね……」
　
　ふと空を見上げる。
「どんな方が、なるのかは存じませんが……。
　種類あまたの餃子をおいしく受け入れる、味覚と懐の大きな方だとよいですね……」

　凝りに凝ったオリジナル餃子を、月詠は淡々と仕上げていく。
　競技用というので、ぞんざいに扱ってしまうのが躊躇われるくらい。
　