餃子の闘将｜リアクション

餃子の闘将

　アツアツ餃子に絶叫する参加者たち。
　だが、彼らは餃子を吐き出そうとはしない。
　失神寸前になりつつ、彼らはそれでも至福の表情で餃子を咀嚼する。
　ちょう熱い、ダミー餃子なのに無駄なクオリティの高さ。
　瓢とはまた別の、この凝り性な悪戯は……。

（……）
　目を眇めて笑う、月詠。
　その心は、誰にも知られることはない。

　混沌の様相を呈してきたフライングギョーザ。
　その中で、一際巨大な餃子を、ロシィは見逃さない。
　白銀狼の、銃弾の如き俊敏さで周囲を躱し、一目散に走る。
　周囲から歓声が漏れる。
　鮮やかなきりもみ。舞う氷原の妖精。
　超巨大餃子に向けてジャンプ。
　あーんと大口を開けて待機。
　だが、射角がちょっと深かった。
　そして、餃子がちょっとでかかった。

　ビターン！
　顔面に激突する餃子。
　凄惨な光景に、あたりから悲鳴が上がる。
　思わず立ち上がる優芽。
　スローモーションで頽れる、可憐な雪乙女。

　だが見よ。その口はしっかり巨大餃子を咥えている！
　峻厳なロシアの魂が、そこにあったのかもしれない。
　地に泥が付かぬよう、両手で抑えて失格になったとしても、彼女を誰が責められよう。
　愛するパーパは、ちょっとお転婆過ぎの娘に、苦笑いを送ったが。