ボール……にゃ！？｜リアクション

ボール……にゃ！？

●魔法が解けた？

　そこへ大きな三毛猫が一匹、走りこんできた。
　……と、思ったら、みるみるうちに人の形になった。
「魔法が解けた？」
　背が高くガタイのいい真面目そうな男子生徒が、自分の手足をきょろきょろ見まわしている。
「あちこちで目撃された大きな三毛猫……君が原因かい？」
　後を追ってきた天野が言う。
　一緒に来た博美は、手が元に戻ったのを見て安堵したようだ。
　そのまま頭を触り、猫耳が消えたのを確認している。
「あんたの仕業かみゃ？　悪いはみゃかったのかもしれみゃいけど、罰を受けた方が本人が楽にみゃるかもしれみゃい……
って口調がもどらみゃい！」
「す、すまん……よくわからないんだが、どうもそうみたいだ」
　
　男子生徒は玉野美雄（たまのよしお）と名乗り、話し始めた。
　三年の体育委員だという。
「これまで自分に変な力があるなんて知らなかったんだが、体育倉庫にボールの点検に来た時、その……アレを見てしまって……」
「アレ？」
　視線の先に、与太郎のプレイしていた携帯ゲーム機があった。
「アフロ野郎が原因かよ！」
　望月が突っ込んだ。
「……恥ずかしながら、画面の中の猫耳美少女を見たとき、自分の中で何かが弾けたような気分になって……
　体育委員の仕事に専念しようとしたんだが、気が付いたら猫になっていた」
　困惑した美雄は倉庫から逃げ出し、グラウンドを走り回った。
　それにつれて猫化が広がっていったようだ。
「うむ。ネコミミはいいものでやす。主砲が暴走する気持ちわかりやす」
「ズボンを押さえろズボンを！」
　元に戻った与太郎に、解理が叫ぶ。
　どうやらベルトとゴムまでは戻らなかったらしい。
「しょうがねえな。これからは事前に知らせて楽しみたい人の承諾を得てからにしてみゃ……くれ。
わかっていれば俺も楽しむからさ」
　博美は説教するつもりだったが、「～みゃ」が口癖になってしまい、どうにも脱力してしまうので断念したらしい。
「神魂の影響による局地スポットのせいもあったのかもしれないね」
　と言う天野。
「残った術符は体育倉庫に貼ることにするかの」
　零は倉庫にお札を貼っていく。

　グラウンドでも、体育館でも。
　猫化した者たちは順次元に戻っていった。
「良かった良かった」
　刀は海の頭をポンと撫でた。
（もうちょっと続いてもよかったかも……）
「ん、どうかしたか？」
『なんでもない、れんしゅうつづけよう』
　もう手は使わないように決めて、二人は練習を続けた。
　
　しののゐの前で猫になった手に当惑していたからんも、無事に肉を買えたらしい。
「また猫さんたちと遊べるといいな」
　足取りも軽く帰って行った。

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あとがき

担当マスター：天村花海
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ご参加ありがとうございました。天村です。
最初思いついたときは、ネコミミとかすっ飛ばして猫そのものに変身するお話でした。
だから萌え要素はモフモフくらいだったのですが。

ネコミミを好きな方もいるかな、程度に思っていたので、一部のアクションを見て、頭を抱えるやら笑えるやらでした……
どうしてこうなった。
でもおかげさまでとても書きやすかったです。

真面目なアクションも、猫化堪能アクションも揃っていて、楽しく書かせていただきました。
まだまだ未熟ですが、またのご参加をお待ちしております。

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