ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―｜リアクション

ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―

●十四
　くずおれた逆巻に上着をかぶせ、八神修はほぼ完成した原稿データを皆に見せる。
「あの展開は衝撃的だからな……。試しに誰か遊んでみるか？」
「あ、あたしやってみたい。まだ全ページは見てないもの」
　塔尾松生が八神のノートパソコンを借りて、最後のテストプレイを進めていく。
　テストプレイの最中、選択肢を間違えた塔尾は、旅鴉月詠が書いた１４ページ目へ飛ぶこととなった。
「へー、夢オチかー。１４ページ目をどんな風にするのか、気になってたのよね」
　全てをなかったことにできる夢オチは、最も汎用性がある展開と言えよう。
「どんな出来事が起こっていても、夢だと思えばやり直せるからね。いくらでも立ち直るサンマさんにはこれが一番だろう」
「うん。とってもサンマさんらしいよ。またこうやって立ち上がって、誰かを助けたり笑顔にさせたりしてほしいね」
　旅鴉の言葉に、桜庭円も納得したように頷く。
　常に前向きどころか、上向きポジティブな彼のことだ。
　少々のミスでへこみはしないだろう……そうでなくては皆のサンマさんはつとまらない。

　八神はいつのまにか誰かと電話で話している。日取りやページ枚数の話をしているあたり、相手は印刷会社の人らしい。
　逆巻は疲れが出たのか机に突っ伏したままだ。かすかに寝息が聞こえる。
「本当に疲れていたようだね。原稿の手伝いで大変だったそうだし……現実の〆切は夢オチにはなってくれないからな」
　桜月が、逆巻の背中から落ちかけた上着をそっとかけ直す。
「目が覚めたら、きっといいことも待ってるんじゃないかしら」
　塔尾松生がそっと、意味ありげにつぶやいた。

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＜１４＞
「ハッ！？」
　見慣れたいつもの場所で、君は意識をとりもどす。

　――どうやら立ったまま寝てしまっていたみたいだぜ。
　やけにリアルな夢だったな。身体中をネコに引っかかれた気もするし、
　タキシードの裾を踏んづけて海に転げ落ちたような気も……。
　細かいところは忘れちまった！　でもなんか上手くいかなかった気がするんだぜ！
　サンマさんは過去を振り返らない！　ハッハッハ！
　さあて夢も覚めたし、次はどこへ行こうかな！

　→１に戻れ
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