ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―｜リアクション

ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―

●十三
　チャート表もページもほぼ完成し、あとは一冊の本に仕上げるだけ。
　手作り製本の方は任せて、逆巻天野はデータの編集作業を手伝っている。
　眠たそうに目をこすりながる彼は、塔尾松生がこちらを見ているのに気づいていない。
（うーん。他の子たちは旅鴉さんの図案を見せてもらうとして、もうちょっとツヤのある感じで描きたいなー）
　先ほど何事かを頼まれていた塔尾は、何やら力作を描いている様子。
　編集中に桃原が書いたシナリオを見つけ、逆巻は頭を抱えた。
「あれほどＢＬ展開はやめろと言ったのに……」
　残念ながらデータは取り込み済で、個別にＢＬ関連のシーンを削除しようにも一つのファイルに統合されてしまっている。きちんとデータに収まっているということは、八神は苦笑いしながらもこの展開にゴーサインを出したのだろう。
　パソコン上に表示された文字が、どうしても目にとまる。
『キャットロードを歩いていた君は不意に、背中側からの熱い視線を感じた』
「……感じなくていいから、そんなの」
　たとえ誰と誰のものであろうと、恋愛と名の付くシチュエーションは苦手だった。
　元のページに戻ろうとした時、マウスカーソルが誤動作を起こして別のところをクリックしてしまう。
　そこには先ほどの展開の続きが書いてあった。
「ちょっと待て。まさかアイツ、専用のエンディングシーンを用意したのか？」
　淡々と書かれた最後の一文が異彩を放つ。もはやどこがツッコミどころなのかさえわからない。
「……なにこれ。もう、いいや」
　脱力感で机の上に突っ伏したところで、彼の意識を強烈な睡魔が飲み込んでいった。

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＜１３＞
　君の答えは彼を納得させることができなかった！
　彼は驚愕し、悲しそうに目を伏せた。
「そうか、残念だよ。君が手に入らないのなら……俺は寝子島を滅ぼそう」
　彼が指を鳴らすなり、急に日がかげるのを君は感じた。
　見上げればなんと、空から超大量のサンマ（生魚）が降ってくるではないか！
　寝子島はまたたく間にサンマでうめつくされてしまった！
　そして寝子島は滅んだ。
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