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クロース・トゥ・ユー
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三十年ほど前に立てられた桜花寮は、正直それほど壁が厚くない。というよりもむしろ、薄い。
隣人が誰かと雑談している声が、壁を通して漏れ聞こえてくる。きっと電話だろう。
さすがにその内容までは聞き取れないが、ときおり笑ったりしているようだ。
時間はもう深夜。
都築 弦一郎
は今、自室でベットに視線を向けたままぼんやりとしている。
まだ眠る気になれない。いや、ベッドに入ったところで眠れそうにない。体は重く、沈み込みそうなほどに疲れているというのに。
弦一郎はその理由をわかっている。
それは昼間学校で、彼女を目にしたこと。
図書室の前だった。彼女は用事を終えたようで、胸に数冊の本を抱えたまま部屋から出てきた。それが遠目に見えたのだ。彼女は弦一郎には気がつかなかった。
その場で彼女の名前を呼びそうになったが、弦一郎はためらってしまった。
彼女はただ、図書室から出てきただけだ。けれども一幅の絵画のように、心奪われる美しい姿だった。まるで彼女とその周囲だけ、流れる空気も時間すら、この世とは別であるかのように見えた。だからこの一瞬を壊してしまうのが、とてつもない罪悪のように感じられた。
やがて彼女は、ゆっくりと姿を消した。
ただ彼女を見送ったとき、弦一郎の胸には針で刺されたような痛みが走った。けれども、これでよかったのだという気もした。安堵のため息すら漏らしていた。
二年前、すなわち高校一年生のとき、弦一郎は彼女と出逢った。
あのとき、図書室で医学書を探していたことを覚えている。大量の書籍の前に四苦八苦していると彼女が気軽に声をかけてくれた。
これですね、と言って彼女は棚の医学書を指差し、確認すると抜き取って笑顔で彼に手渡した。
たちまち医学書のことなどどうでもよくなった。彼女の笑顔が、言葉が、それらが織りなす雰囲気が、弦一郎にめまいを起こさせた。
足もとから地面が割れ、そこに落ちていくような感覚。
けれども同時に、背中に翼が生えて浮き上がってしまうような感覚。
一目惚れという言葉を使うのは気恥ずかしいが、そうとしか言えないものだったと思う。これまで弦一郎にそんな経験は一度もなかったし、これからも二度と、ないのではないか。それほどに激しく、衝動的で、それでありながら甘美で切ない想いだった。
そこから二年、経過した。……なにもできなかった二年、と言い換えることもできようか。
弦一郎の恋は、秘めやかな片思いでありつづけた。彼と彼女を結びつける唯一のキーワードは『同級生』であり、それ以上進むことはなかった。
彼女とはその後何度も会ってはいるが、それは挨拶を交わしたり、軽い話をするだけのものにすぎず、そこから何かがあるのかと問われても、答えるものはなにもない。
彼女についてわかったわずかなものは、司書を目指しているということ。……それと、どうやら彼女にも好きな男性がいるらしいということだった。
もう十月、あと半年で、弦一郎の高校生活は終わる。
彼女に対し、なんらアプローチをできぬまま二年が過ぎた。
理由は簡単だ。傷つくのが怖かったから。心が傷つくより、片思いでいられるほうがずっと楽だ。
学生生活に不満はない、むしろこの学校に来て良かったと弦一郎は思っている。良い仲間にも出会えた。楽しい思いでもたくさんできたし、現在進行形で作っている最中でもある。その気持ちに嘘はない。
しかし――。
このまま彼女と進展もなく、いや、進展させようという努力すらせず、このままズルズルと時間だけが流れやがて卒業を迎えることが、果たして最良なのだろうか――そう思う。
心の中でなにかがのたうっている。大蛇のようなものが暴れ、心臓を締め付けてくる。
「ダメだ……一人でいると変な気持ちになるぞ……散歩するか」
両手で頭を抱えるようにして、彼は部屋を出た。
隣室から漏れ聞こえる会話は、まだ続いていた。
どれほど歩いただろうか、気がつくと弦一郎の足は、港にたどり着いていた。
彼ははたと足を止めた。
こんな時間だというのに、空手着の少女がランニングしている。
「……」
少女は弦一郎に鋭い一瞥を投げかけたものの、特になにも言わず横を駆け抜けていった。
高校生くらいだろうか。険のある目つきだった。下手に声をかけようものなら噛みつきそうに思えた。尻尾をぴんと立てて歩く野良猫のような。
「彼女とは全然違うな……彼女はもっと……」
弦一郎の胸にまた、昼間の彼女の姿が思い起こされた。
それは本当に、美しい姿だった。
そして、心和む姿であった。
昼間、声をかけることはできなかったが、そのおかげで、生涯忘れ得ぬ光景を見ることができたような気もした。
すると弦一郎の口元には、ふっと笑みが浮かんだのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月27日
参加申し込みの期限
2015年03月06日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月06日 11時00分
参加キャラクター一覧
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