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進路相談、君等の道2【芸術科編】
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●芸術科2年8組その2
【
神嶋 征一郎
の場合】
氷のような。
征一郎をひとことで表すと、そんなふうに語る人が多いかもしれない。
けれど彼のヴァイオリンを聴いたらその評価は一変するだろう。
炎のような。
「覚悟ならとうの昔に」
自分の夢はここに来る前から変わらず既に決まっているのだ、と征一郎は言った。
ドイツの国立音楽大学、ヴァイオリン専攻だ。
畏れるものは何もない、という風情だった。
「それがプロになるための一歩だからです。夢は自ら掴む。自分なら出来ると確信しています」
淡々と語り、瞼を閉じる。
気配の中に、どうせ音楽専攻ではない先生には分からないだろう、という諦観の色が僅かに混じる。
「成績は、生物以外はいいわね。ドイツ語は?」
「幼少から勉強していて読み書き会話はそれなりに。ドイツの音楽発表会で演奏経験も有りますし」
本当は寝子島に来る前に
暴行事件
を起こさなければ、前の学校で短期間ドイツに留学する予定だった。
覚悟も準備も、そのときすでに済ませていた。
あのとき――。
才能を嫉妬した同級生たちに楽器を壊され、まったく楽器から離れていたあのとき、一度は弾くのを辞めようと思ったヴァイオリン。けれど、好きだという想いにどうしても抗えず。
異彩、と言われるようになったのは中二のころからだったろうか。
情熱的で、狂騒的で、まるで……氷の炎のように、異質。
腕はいい。
聴く者を激しい渦に巻き込むかのような演奏に、巻き起こる拍手。高い評価。
なのになぜだろう。どこか空虚になってゆくのは。
「自分に足りないものがあるとすれば、先生は何だと思いますか」
この先生に何がわかるものか、そんな疑いと、わからないからこそ見えるものがあるんじゃないか、そんな僅かな期待が、混じり合って口を突いて出る。
「足りないもの……ねえ」
しばし考え、沙穂先生は征一郎の瞳を覗きこんだ。
「何かが足りないと思うからそう質問するのよね?」
征一郎は黙し、その代わりまなじりを鋭くした。
沙穂先生は目の前のややこしい生徒の眼差しを受け止め、動じずにやさしく見つめ返した。
「なんだろな。足りない、んだろうね。征一郎だけじゃなくほとんどの人が何かは足りなくて……そうね、征一郎っていう人間はとくに偏って欠けている。円なんかじゃ全然ない。ただ、それが魅力ってのも確かなのよね」
くすくすと笑って。
足りないものは自分で見つけた方がいいよ、と沙穂先生は言った。
結論のないまま教室を辞し、征一郎は廊下の壁を叩きつけようと拳を上げ……ヴァイオリンを弾く手であることを思いだして力を抜く。寄りかかった壁は、秋の夕暮色を映して冷たい。
「ち……」
俺の演奏は異質だ。
音楽としての質の高さには自信がある。けれどどこか聴く者の心を歪めてしまう。それが怖くて……さらに演奏中に弦が切れると聴いていた人の聴覚を麻痺させてしまうろっこんのことも相俟って、近ごろでは本気で演奏するのを控えている。
「本当に楽しんで演奏出来た事など……」
歪んでいるのは自分なのか。欠けているのは楽しむことか。
楽しめれば歪みもなくなるのか。
わからなかった。征一郎は首を振る。
友人との馴れ合いなど必要ない。
それは今も変わらない。
けれど、僅かな迷いが生まれたのは――。
「神嶋君?」
クラスメイトの
丹羽 紅葉
の声で征一郎は顔を上げた。
「あ、ああ。丹羽……次、丹羽の番か」
「ええ。神嶋君は、留学とか考えてる?」
「当然だ、ドイツへ行く」
そこははじめから迷いはない。
「丹羽こそどうするつもりだ?」
紅葉はひとつ息を呑んで征一郎を見つめた。それから春の初めに咲く花のようにかんばせを綻ばせる。
「ええ、私も行くわ。フランスに」
【
丹羽 紅葉
の場合】
征一郎との僅かな邂逅が、紅葉に勇気をくれていた。
ドイツへ行く。その迷いなき答えが。
選ぶ道は違えども、ともに戦う同志のようで心強く思える。
私も、と思う。
考え直せって言われるかもしれないけど、ちゃんと伝えなきゃ。
紅葉はスカートの裾を握りしめる。
落ち着いて。
「バレエで海外留学を考えています」
姿勢を正し、紅葉は告げる。
その声は、まだすこし震えていたかもしれない。
「私、バレエが大好きです。大きな舞台で、大好きなバレエを踊りたい。自分を磨く為に最高の環境に身を置きたいんです」
次に口にしたのは、深雪も口にしたパリの名門国立音楽院の名。
「知らない土地で知らない人ばかりの環境ですし、普通に受験勉強して大学に入るのとはまた違う大変さがあるのは理解しています」
紅葉は気が強い方ではまったくない。どちらかというと控えめで柔和な少女と思われてきた。
そんな紅葉が自分の考えを、自分の気持ちを、まっすぐに紡ごうとしている。
沙穂先生にはそれがわかった。だからやさしく続きを促す。カモミールティのやわらかな香りもまた、紅葉にそっと寄り添ってくれている。
「私、寝子高で夏のネコフェスや、今度やる演劇フェスで色んな人とたくさん関わるようになって、解ったことがあります」
「うん」
「良い子であるために黙って誰かの決めたことをするよりも……人を楽しませる為に、自分で考えて率先して話したり行動した方が、大変だけどずっと楽しくて心が楽だって」
晴れやかな横顔。
「これまではただ上手に踊ろうとして『心に響かない人形の踊り』なんて言われてきましたけど、今は違う」
雲の緞帳が上がり、夕日のスポットライトがその横顔を華やかに照らす。
音楽が鳴り響くかのよう。高らかに。
「私はもっと、踊りたいんです。大好きなバレエを。――プリマとして!」
ここは紅葉の舞台だった。
たったいま紅葉はプリマだった。
まごうことなく。
「険しい道よ」
「はい」
「辛いこともあるわよ」
「はい」
「やれるわね?」
「頑張ります」
「なら、もちろんレッスン。そしてフランス語ね」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月28日
参加申し込みの期限
2015年03月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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