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■桜と紫
少年が、廊下を走っていく。向かう先は彼の兄がいる部屋。
興奮した様子の少年を見て、
藤音 鈴桜
は日本庭園の片隅で抑えきれない笑い声を零した。
「ちっちゃい紫鶴だ、可愛い」
そんな鈴桜の様子に、
音羽 紫鶴
は眉を下げて細く息を吐き出す。幼い頃の記憶は曖昧だが、こうして他人に見られるとどうも居たたまれないものだ。
どうして目の前に幼い頃の自分がいるのか――帰り道、たまたま鈴桜と出会ったところで、季節にそぐわない花の香りがした。
そして、瞬きを一つしたら何故か紫鶴の家にいた。鈴桜は不思議な現象にあまり動じていないらしく、幼い紫鶴を見てはしゃいでいた。
二人はそっと部屋の中を覗き込む。
布団の中で、上体を起こして少年の言葉を聞く兄の姿。
怜悧で知的な印象を与える彼は、その表情を変えることなく少年を見つめていた。
少年は嬉しそうな様子で、武術の師に褒められたことを兄に報告していた。
微かに聞こえる、彼の兄の声。その声は、冷たさを孕んだものだった。
病弱な自分と、優秀な弟……紫鶴の兄は、少年が自分を脅かす存在になりつつあるのを確信していた。半ば無意識的に、弟へ向ける態度が冷たくなる。
しかし、少年に兄の気持ちの変化は分からない。ただ、大好きな兄が急に冷たくなったことに困惑していた。
「……お休み中のところ、すみませんでした。失礼します」
表面だけを取り繕った一礼をして、少年は兄の部屋を後にする。平素であれば褒めてくれるはずが、何故態度が変わったのか。ぼんやりと、そんなことを考えながら庭へ歩き出した。
紫鶴と鈴桜は、少年に見つからないよう木の向こう側へと身を隠す。
遠くから、足音が聞こえてきた。
黒髪を靡かせながら少年の姿を探しているのは、幼い頃の鈴桜。
五歳上の兄に連れられて紫鶴の家へ行き、将来の結婚相手を告げられた。
夢がお嫁さんであった鈴桜は、目を輝かせて未来のお婿さんである紫鶴の姿を探していた。
少女の目が、少年の後ろ姿に留まる。
「私のお婿さん見つけた!」
黒い瞳を輝かせ、嬉しそうな様子で少年に駆け寄った。
少年は振り返るが、どんな反応をしたら良いものか分からず、目を瞬かせながら少女を見つめていた。
「何をしてたの?」
問い掛けに、少年は曖昧に笑うだけだ。婚約者を無碍にすることも出来ないが、いつものように相手をする気力も今はなかった。
子供ながらに、少年の様子がおかしいことに気付いたのだろう。少女は首を傾げて考える。
今自分に出来ることは何か、沈黙の後に、少女はいつもの調子で話を始めた。
「……あのね、おとなりの猫ちゃんがね、ふすまを破っちゃったんだけど、お腹がつかえて出られなくなってしまったの」
突然始まった話の意図が分からず、少年は目を丸くする。
少女は必死に話題を探す。彼が気落ちしていることに気付き、将来の伴侶である自分がついていなくては、彼を元気にしなくてはという幼い使命感を胸に抱え、身近で起こった面白い話を続ける。
「あとね、この前は、幼稚園でゆうくんが先生に好きって言おうとして待ち伏せしてたんだけど、先生を追い越したとし君に好きって言っちゃったのよ」
丸い目でじっと少年を見つめながら、少女は精一杯話し続ける。
少年も少女の意図に気付いたのだろう。少しだけ表情を和らげて話を聞いていた。
「……これ、元気の出るおまじない」
少女の小さな手が、少年の頭を撫でる。
髪を撫でる感触がどうにも擽ったくて、少年は思わず笑ってしまった。
少年の笑顔を見て、少女も安心したように笑う。
おまじないの効果だろうか、少年の心は軽くなっていた。優しく微笑みながら、少女に礼を言う。
「有難う」
「どういたしまして。私はお嫁さんだから、悲しい時はおまじないで元気にしてあげるね!」
幼い少女は言う。少年は少女の言葉にゆっくりと頷いた。
(そうか。あの時の女の子は……)
紫鶴の記憶が蘇る。幼い頃、兄に冷たい態度を取られ気落ちしていた自分を、懸命に励ましてくれた少女がいた。
ぼんやりとしか覚えていなかったけれど、目の前の出来事のおかげで思い出せた。
「……すっかり忘れてた」
それは鈴桜も同じだったらしい。鈴桜は呟きを零し、幼い自分の姿を見て口元を押さえた。
素直で無邪気だった自分。忘れていた紫鶴との邂逅を見て、少しだけ、鈴桜の心に素直さが芽生えた。
横目でそっと紫鶴の姿を盗み見ると、ちょうど鈴桜を見ていた紫鶴と視線が合ってしまう。
慌てて目を逸らし、鈴桜は唇を一文字に引き結んだ。
「……あの時、俺は君に元気をもらったよ。有難う」
いつもよりも幾分か優しい口調で、紫鶴は言葉を紡いでいく。
鈴桜は俯いて片手で口元を覆ったまま、小さく頷いた。恥ずかしくて、紫鶴の顔を見ることはとても出来なかった。
あの頃の鈴桜は四、五歳。紫鶴は六、七歳といったところだろうか。幼い二人は、他愛もない話をしながら笑いあっている。
紫鶴は、静かに二人を見つめていた。幼い頃の、温かい記憶を思い返しながら、懐かしむような視線を二人に送る。
ふわりと、花の香りがした。
瞬きを一つすると、そこは紫鶴の屋敷ではなく帰り道だった。
「……帰るか。送っていくよ」
「…………うん」
鈴桜はまだ照れており、紫鶴の顔が見られないらしい。短い返事だけを返して、紫鶴の隣を歩いていく。
二人の影が、夕日に照らされて長く伸びていた。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
青崎灰次
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月26日
参加申し込みの期限
2015年03月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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