花愛で狐と秋の花｜リアクション

花愛で狐と秋の花

◆お花見の　かえりみち
　楽しい時間も、想いに浸る時間も、等しく過ぎてゆく。
　皆が思い思いの時間にその山を降りていく姿もちらほらと。
　綾辻綾花もまた、「また来ます」と狐たちに手を振って帰路についた。
「あおいちゃん、また一緒に来ようね」
「うん、そうだね」
　そんな約束一つを、また結んで綾花は猫鳴館の方へと返ってゆく。
　残ったのは七夜あおいと八神修。
　クラスが同じならば、共通話題も自然と。
　部対抗リレーで応援してくれたことや他愛のないこと。
　帰路は明るい話題であふれている。
「そういえば、十月は修くんの誕生日だね」
「覚えててくれたのか？」　
「うん、お友達の誕生日だもん」
　彼女に悪気はないのだろう。複雑な気持ちと嬉しい気持ちと、ありのままを修は受け取った。
　その純粋な笑顔と向けてくれる言葉ごと。
　十六歳になればお互いは同い年、何かしたいことがあるの？なんて、話になれば。
「そうだなあ……バイクの免許がほしいな。遠出する時とかにさ」
「バイクとかあったら、色んな所に遊びに行けるね」
　格好良いなぁとあおいがあまりに楽しげに笑うから、修もつられて笑った。
「また、明日な」
「うん、また明日ね！」
　途の分かれる場所でお互い手を振って。
　また明日。
　あの笑顔に会いに行こう。　

　狐の広場に最後まで残っていた御巫時子は、すっかり暗くなった空を見ていた。
　なんだか今日、このまま帰ってしまうのは何となく寂しい気がして。
　けれど傍の狐たちの眼差しは優しいもの。
「また、来ますね」
　そう告げたのなら、彼らは時子を見送るように並んだ。
　夜目の利く鳥に返信した時子は、一緒に来た鳥たちとともに空へと羽ばたいた。
　ちらりと下を見たなら、狐たちと目があった。
（また、です）
　眠りゆくその日に、少しだけ寂しさ漂わせる時間に残していくのは次への約束。

　とある秋の一日のこと。
　花々の眠りに寄り添って、狐たちもまた夢を手繰ってゆく。
　それは花愛でたちの――幸せなゆめ。

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あとがき

担当マスター：癒雨
ファンレターはマスターページから！

お待たせしました。そしてご参加有難うございました。

花愛で狐たちとのお花見でしたが、少しでも楽しんで頂ければ嬉しいなと思います。
それと同時に久しぶりで、力不足部分がとっても浮き彫りでした。
ですが、各々の想い、過ごしてきた時間。そこに在る関係性と距離感。
どれも、どれも触れさせて頂けて嬉しいものでした。

一部にはお気持ちに添えない部分などもありまして、本当に申し訳ない限りです。
今回は個別に優劣をつけるものでもありませんので、
個別コメントは活用しておりません。

皆様のアクションに、何かを返せているリアクションでありますよう。
改めて、ご参加有難うございました…！

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