春に『花盗人』として商店街を騒がせた狐は今――『花愛で』として花を愛し続けている。
例の事件から
七夜 あおいは、狐たちの様子を見に行ったり、花を届けたりして。
今日もまた、そんな一日。
「……あれ?」
ふと。
狐達が不思議と集まっている場所が有ることにあおいは気づく。
木から香るのは金木犀の甘い香り。
地で揺れるのは可憐な秋桜たち。
そんな場所に狐たちは集まって花を眺めていた。
「なんだか、お花見みたい」
ぽつりと零れたあおいの言葉。
「実際、それに近いようだ」
「へ?」
突然降った言葉にあおいが素っ頓狂な声をあげてしまう。
そんな彼女の視線の先に居たのは、寝子島高校の生徒会長、
海原 茂。
彼もまた花盗人の狐と縁があった一人で、あおいよりも早く此処に訪れては、彼らを眺めていたらしい。
普段は各々花を集める彼らが、今日は同じ場所に纏まっている。
きっと、何かあるのだろうとの推測を零す茂と、なるほどと頷くあおい。
二人がささやかな言葉を交わしていれば、傍らには何匹かの狐たちの姿。
――どうぞ、と。
頭を下げるそれは、歓迎のようにも見えた。
皆にも声をかけてくると山を降りていったあおいの背を見送った茂は、別の途へ行く狐の姿を見つける。
(……何処へ?)
そっとその足取りを追ってみたなら。
金木犀や秋桜の姿が見えなくなった代わり、広がったのは彼岸花。
ここはきっと死者を、亡くした誰かを想う場所なのだろう。
静かに佇む赤に、茂は傍らの狐と共にそっと目を閉じた。
秋に咲く花々の傍で。
――狐たちと、何気ないひと時を。
とてもお久しぶりです、癒雨です。
狐好きは相変わらずです、かわいいですよね…!
復帰シナリオはまたも狐に関係するものです。
ガイドに有る花盗人の事件ですが、ざっと説明致しますと……
春に商店街で花やそれに関わる盗難事件が起き、怪我人が出る事態になりました。
それの犯人が九夜山に住む狐であり、奇妙な力は神魂の影響であることが判明します。
また狐たちの目的は、亡くなったリーダーが好きだった花をただ集め、手向けることでした。
それをきっかけに、この狐たちとも交流が生まれました。
詳しく知りたい方は、『狐火の花盗人』を参照に。
特に内容を知らなくても問題はありません。
当時関わった方は、狐たちも顔を覚えていますので前提で来てくださって大丈夫です。
該当シナリオから現実でいうと3年も経ったんですね……びっくりしました。
内容は『狐たちとお花見』になります。
各々、思うままに過ごして頂けたら幸いです。
▼場所
舞台は九夜山周辺。
他の場所をメインにすると描写が思うように出来ない可能性があります。
下記どちらにいても、狐たちと行動することになります。
金木犀と秋桜の広場
甘い金木犀の香りがよく分かる場所です。
花見と言っても、騒ぐ必要はなく、花を眺めるだけでも構いません。
騒ぎたい方は他者の迷惑にならないように。ゴミはお持ち帰り、で!
賑やかだったり、明るめの雰囲気の場所です。
彼岸花の園
広場から少し離れた静かな場所です。
此方は想いに浸る場所。死者や離れてしまった人、そんな人達に零したい思いが有るのなら。
静かめで、少し暗めの雰囲気の場所です。
▼狐について
事件の時、真摯に対応してもらったことから人間に対しては好意的です。
簡単に懐いたり、寄り添ったりしてくれます。
ただ敵意は人一倍汲み取りやすいです。
人の言葉は話せませんが、言葉をかけたら聴いてくれます。
特殊な力は持っていません、ただ花が好きな狐たちです。
▼お願いと補足
・キャラさんの言葉選びを知りたいので、アクションはキャラ口調だと助かります。
・絡みの可不可を記載して頂けると嬉しいです。
広場は基本絡む方向、園は静かな時間を大切にするため積極的に絡ませることはしません。
▼NPCについて
七夜 あおいと海原 茂がご一緒しています。
ご用有りましたらお気軽にどうぞ。