あやかし学校運動会｜リアクション

あやかし学校運動会

「今夜は九夜山辺りまで天体観測に出かけようか……」

　ある時、なぜだか急にそう思い立った海神湊面は、天体望遠鏡を持って夜の九夜山を登っていた。
　……筈なのだが、おりしも湧き出てきた不気味な霧に包まれてしまい、道に迷ってしまった。
　ほうほうの体で霧を掻い潜り、抜けだした先はどうやら運動場のようだった。
　何やら怪しい人影がたくさん集まってる――

「……こんなところで何やってたんだっけ？」

　手に持つ天体望遠鏡をまじまじと見つめる湊面だったが……

「うーん思い出せない……」

　改めて自分の姿を確認してみると、手には天体望遠鏡を持っていたものの、服装は白い着物とミスマッチな姿である。

「……ってそうか…今日は運動会、だったっけね」

　頭の中に今日は運動会だという記憶が湧きあがってきた。どうしてこんなことを忘れていたのだろう。
　湊面の周りでは一つ目小僧やろくろ首といったあやかしたちが、忙しそうに運動会の準備を進めている。
　そして会場に不気味な声でアナウンスが響き渡った。

「続いては二人三脚を始めますー。入賞者には豪華賞品が与えられるのですー。
　参加者はさっさとコンビを組んで、ゲートに集まるのですー。けけけ……」

「豪華な入賞商品ってなんだろ……？　少し気になる、かも……
　でも、二人三脚に出るならまずは組む相手を探さないと……」

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