あやかし学校運動会｜リアクション

あやかし学校運動会

　湊面がどうしたものかと辺りを見回しキョロキョロしていると……
　
「あっ、雪女さん！　小萩と美少女コンビで二人三脚しませんか？」

　声をかけてきたのは、本条小萩だった。一見するとフツウの女の子に見える。

「小萩は妖怪『かわいすぎおばけ』です！」

　湊面が返事を戸惑っているとその、自称『かわいすぎおばけ』は矢継ぎ早に自己紹介を始める。

「『かわいすぎおばけ』は人間社会にさりげなく住んでいて、そのかわいすぎる見た目と言動で男の人をメロメロにしちゃう、とってもこわ～い妖怪なんですよ！　ふふふ～」

　どうやら『かわいすぎおばけ』は西洋で言う所の『サキュバス』によく似たあやかしのようだ。
　もっとも、サキュバスがセクシーさを武器にするのに対し、かわいすぎおばけはどちらかと言うとキュートな存在に見えた。

「白いお肌に赤いロープというちょっぴり背徳的な取合せも目に鮮やかです。目指すは芸術賞ですよ！
　ひゃんっ、ちょっと足が冷たいです。体も冷たいですねー」

　湊面が気が付くと、いつの間にか赤黒いロープで小萩と湊面の足が結ばれていた。
　今更辞退するのも悪いと思った湊面は覚悟を決めて、走るのに邪魔になりそうな長い着物の裾をグイと捲り上げ、たくし込んだ。

「周りがみんな妖怪さんだと、さすがの小萩のかわいさも通用しないかもですね。
　ピンチです。でも負けません！」

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