あやかし学校運動会｜リアクション

あやかし学校運動会

「わあ、今日は運動会だー」

　遠矢護は初めてのあやかし運動会参加に胸をわくわくさせていた。
　護は妖狐の子供。髪の色と同じ薄茶色の毛をした３本の尻尾を生やしている。
　その護をここに連れてきたのは兄の八神修。同じく稲荷神としての高貴さ誇り高さを残す妖狐だ。
　修は弟とは違って８本の尻尾を生やしている。

「お兄ちゃんのしっぽー。お兄ちゃんのしっぽをもふもふして遊ぶのが大好きー」

　護は周囲のあやかしに興味津々だがおっかなびっくり観察しながら、始終、修にくっついてベタベタ甘えている。修もそれを受け入れ護の好きにさせている。
　妖狐はズル賢いイメージが持たれているかもしれないが、本来狐は慎重で仲間想い。
　修と護は仲良しで、進んで争い事を起こすような事はしないが、今日は運動会。売られた勝負事は買うつもりだった。
　特に修は可愛い弟の護と一緒に走るので正々堂々と走ってやろうと闘志を燃やしている。

「練習をして本番に備えるぞ」

「練習？なにするの？」

　きょろきょろとあたりを見回す護に修は赤黒いロープを差し出し、二人三脚の練習を始め、それが終わると

「うまく走れるようになったな」

　と頑張った弟を撫でてやる修。
　賞品よりも弟の喜ぶ顔が見たい修だった。

　そして勝負の前に腹ごしらえ。お昼御飯を食べて競技に臨む準備を整える２人（２匹）。

「もぐもぐ、おいしいね。僕はね、中に玉子が入ってるのが好き」

　修が好物の油揚に切り込み入れてツナ入りにしたのを取りだし、護の前にも差し出す。

「お兄ちゃんの好きなのもおいしいね。これは何？お魚さん？」

「そうか、護はツナ缶を見たことないのか」

「お兄ちゃんが川で獲ったの？」

「これは人間の街で手に入れてきたんだよ」

「街か……。街は護が完全に人間に化けられるようになったら、連れて行ってやるよ」

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