黒きミサ―中二病を告解せよ―｜リアクション

黒きミサ―中二病を告解せよ―

「いや～。僕は面白いと思うな～これ」

　僕という一人称だが響タルトは女性である。
　ネームプレートはつけていない。
　名前を偽るつもりはないらしい。
　シラユキのノートの内容からその正体にたどり着きつつあったが、そこは触れないのがこのミサのお約束である。

「中二病って面白いよね～。僕も昔はいろいろ考えたよ。いずれ超能力に目覚めるんじゃないかとか。前世では男で、運命の相手とBLしてたんじゃないかとか」

　ちなみに彼女の言葉にあるBLとはBoy's Loveの略で、男性同士の爽やかな恋愛を描いた一群の創作活動を指す。

「もれいびの力も超能力みたいなものだよね。そういえばろっこんが進化するとかいう噂を聞いたけど、そう言ってる人たちも中二病なのかな？　僕のろっこんは進化しそうにないけどなあ」

　もれいびやろっこんという単語には聞き覚えのないものもいたが、そういう者たちはそれこそ中二ワードかと理解してスルーした。
　中二病を語る彼女は、前の2人とは打って変わって楽しげですらある。

「あ、これ僕の作品。『闇の雫』ってタイトルがちょっと中二っぽいよね。中身はそうでもないつもりなんだけど……。でも、さっきのシラユキさんもそうだけど、創作エネルギーって、どうしても中二病の影響受けちゃうと思わない？　こないだネコミケに行って実感したよ。今度の薄い本……あ、BL同人誌なんだけどね、テーマは中二病にしようかなあ」

　友人と参加したネコミケは、記憶に新しいところである。
　「闇の雫」は、タルトが夢で見たゾンビゲームを題材にした表題作他収録をした同人誌で、ネコミケで販売した。
　友人には無料で配ったりもしているらしい。

「中二病ってさ、自分の特別さをわかって！　っていう心の叫びだよね」
「そう！　そうなんだよ！」

　救世主も力強く頷いた。

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