【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド

　受け渡し地点でスタンバイしているのは、黒猫組が鴻上彰尋と瀬田レオナ、白猫組が雨寺凛とロベルト・エメリヤノフである。場所は山道が舗装道路に変わってすぐの地点だ。
「体育祭、盛り上がってるね！あたしも燃えてきたっぽい！」
　お祭り騒ぎに俄然、テンションの上がっているレオナ。
「近づいてきた……いつ見ても大きな旗だよねー」
「ええ……打ち合わせ通り、俺が持ち手の上の重心部分持ちますから」
「流石、男の子だね！彰尋君、よろしくなの！」
　彰尋とレオナは言葉を交わしつつ、それぞれ思いをめぐらせる。
（女の子と一緒に走るなら、あまり急かさないようにしないと）
（ここで頑張れば、後であいつもなでなでしてくれるかな？よーし、頑張っちゃうよ！）
　レオナの方は、今は白猫組でライバルになっている恋人のことを考えているようだ。

「黒猫組との差は、せいぜい2，3秒だね」
「舗装された公道だから、走れるところは思い切り走って追いつきたいですね！」
　ロベルトと凛も気合充分の様子だ。

　先に受け渡し地点にたどり着いたのは黒猫組、豪と博美のペアだった。スピードを緩め、落とさないよう慎重に受け渡す。
「あとは頼んだ！」
　走り終えた二人に微笑み返し、彰尋とレオナは体勢を整える。
（風が強い……瀬田さんの負担を減らすよう考えて走ろう）
　彰尋は応援旗の重量を確かめると、レオナに声をかけた。
「行きますよ！」

「雨寺、応援旗は持ったな！行くぞ！」
「はい！」
　ロベルトと凛は、旗を両側から抱き抱えるようにして支えると、スタートを切った。身長差や力の差などに気を配り、バランスよく支えながら運んでいく。もう山道ではないので、旗が地面に触れないことだけに気をつける。
　凛がロベルトに目配せして合図した。「全力で走ってOK」のサインだ。白猫組の応援旗は激しくはためきながら、黒猫組との差を詰めていった。
「後はよろしくデス……」
　疲れた様子の夏朝を支えるようにして、マリナは応援旗を受け取った二人を見送った。

　前を行く彰尋は、旗が倒れないよう、持ち手の上部をしっかりと握り締めていた。そして、レオナが風下に来るよう、自分の立ち位置を調節する配慮も忘れない。
　併走するレオナには、あまり重さがかからない形になる。
（あたしは普通に持って走ってるけど……それだけじゃ物足りないよね）
レオナは白猫組の様子を伺う。
（まずい、このままじゃ抜かれる……彰尋くんだけに頼ってちゃダメだわ。よーし、お姉さんが応援してあげる！）
「狂想のナイトメア・カーニバル！第28章『ファイト一発』！」
　レオナは一声叫んで、ろっこん「狂想のナイトメア・カーニバル」を発動した。彰尋に「頑張ろう」という感情を思い出させるのだ。レオナは走りながら歌いだす。
「負けるな～、頑張れ～、そこで諦めるな～！」
　メロディはアドリブだが、走る邪魔にならないよう歩幅にテンポを合わせてある。
「ファイト一発、立ち上がれ！立ち上がれ！立ち上がれ！彰尋くん！」
　まもなくレオナの歌は、息が上がりかけていた彰尋の心に届いた。
「が……頑張らなきゃ！」
　白猫組ペアに危うく抜かれそうになったが、黒猫組も盛り返す。両チーム、双方譲らない状態でまもなく校門前の受け渡し地点が近づいてきた。