【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド｜リアクション

【体育祭】フリーダム！ネココー流応援合戦～黒猫組サイド

　時を同じくして、寝子高第１グラウンドの片隅にて。
　こちらでは、黒猫組応援合戦メンバーの作戦会議が開かれていた。
「応援合戦の点数配分も結構大きい―――あらかじめ念入りに準備しておく必要がある」
　口を開いたのは御剣刀だった。
「フリー応援タイムに何が必要か皆に聞いておいて、衣装や小道具の手配をしようと思う。もし、リレーに必要なものがあったらそれも用意しよう」
「さすが御剣くん、頼りになるね！私は自分で作ったアイテムがあるけど……」
　なにかの間違いで応援合戦に登録されてしまったという維剣姫乃が答える。
「アイテムというと？」
「……ちょっと恥ずかしいから、後のお楽しみで！」
　顔を赤らめる姫乃。一方、奈良橋博美も刀の言葉に同意してみせた。
「ああ、協力して行動するときは事前の打ち合わせは必須だもんな。オレはリレーの区間１を走るけど」
　博美は横にいる龍目豪の方を見る。
「一緒に走る龍目さんと、認識の齟齬がないよう確認しないと」
「そうだな、後でコースを下見しとこう。探検部だから、山道でも自信はあるけどな」
　豪も力強く答えた。
「そういう意味なら、俺は第２区間にしてもらって助かったかな」
　続いて発言したのは鴻上彰尋だ。
「一応放送部だけど帰宅部に近いから、学校の中で知らないことも多いし。部活施設だと特にね。公道を走って正門までだったら、知ってる道だから安心して走れる」
「頼もしい仲間が集まって良かった。俺も打ち合わせが必要だな。志波」
「……うん」
　刀に呼ばれ、志波拓郎がぽつりと答える。
「夢宮のパフォーマンスの時に、バックで盛り上げたい。どんなことをするか、どうすれば夢宮の歌や踊りを映えさせられるか……関係者全員で、全体の流れや立ち位置を相談しよう」
「……。バク転やバク宙……それから、小さめの旗を持って観客席の前を駆け抜ける……そうしたら、それに合わせてウェーブができる……」
　拓郎は考えながら、ゆっくりと自分なりのアイデアを出していく。
「みんな、私のために……ありがとう」
　夢宮瑠奈が感謝の思いを口にした。
「あたしは走るのはそんなに得意じゃないけど、体育祭を盛り上げたいって気持ちは強いから。とっても嬉しい」
「気にしなくていいよ。志波の案はいい考えだな。他にも、全体で盛り上がれるようなことをしたいな」
　刀が思案を始めたちょうどその時だった。
「遅れてすんません！八神さんと、区間３の下見をしてきたっす」
　姿を見せたのは、本田誠也と八神修の二人だった。
「どうしても勝ちたいからね。俺の体力でも、あの距離ならいけると信じたいな」
「なるほど……で、手に持ってるそれは何だ？」
　博美に訊かれ、誠也は携えてきた掃除用のモップに目をやった。
「これっすか？まっすぐなコースっすから、応援旗の受け渡しを上手くやって相手に差をつけたいっす。だから、これで練習します」
「なんだか、すごく楽しみになってきた……勝敗はともかく、皆で精一杯頑張りたいな」
　彰尋の言葉を聞いて、刀が口を開いた。
「でも、やるからにはやっぱり勝ちたい。やれることはやろう。黒猫組には、パワーのある奴もいるし、現役アイドルが二人もいる」
　アイドルというのは、瀬田レオナと夢宮瑠奈のことだ。
「本番でスタミナが切れないように、本番前に氷砂糖を食べることにしよう。糖分は即効性のあるエネルギー源なんだ。人数で不利でも、俺たちは十分に勝てるさ。こういう時は、皆で盛り上がって、一丸となって勝利を目指すんだ」
　刀も、ほかのメンバーも静かに燃えている。絶対に勝つ―――黒猫組の面々は、それぞれの顔を見合わせて気持ちを確認し合うのだった。

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