助太刀上等ッ！　VS闇の悪乱比亜（アランビア）軍団｜リアクション

助太刀上等ッ！　VS闇の悪乱比亜（アランビア）軍団

【熱風と共に】

　寝子電スタジアムは、先日のターバンの宣言もあってか盛況さをみせている。
　ざわざわと、人々は試合が始まるのを今か今かと待っている。
　ざわめきの大半は勝負の行方の予想である……ロロ・魁の臨時でレスラーを雇うという奇手に対して、反発半分、面白さ半分といったところだろうか。
　だが、これから始まるのは台本も何もない一発勝負であることは誰もが理解していた。
　勝負に負ければ悪乱比亜（アランビア）軍団に関東は制圧されてしまうのだ。
　まさに、ここで負ければ後がない背水の陣である。
　その戦いの火ぶたが……切られようとしている。
　時刻は18時ちょうど、突如会場に熱い音楽が鳴り響く。
　プロレスのリングを囲うように配置されている観客席……それぞれ四隅に入場口があり、それぞれの『味方』である観客席側が設定されている。
　ロロ・魁率いるニャット・ザ・グレートマスク軍団の席はちょうど東軍であり、観客席も東側。悪乱比亜軍団は西軍として西側に配置されている。
　音楽と共に入場口から選手が入ってくる。
　熱狂的な音楽と登場パフォーマンスが観客を沸かせ、会場を暖める。
　やがて、ステージの東西にそれぞれの陣営が出そろう……、選ばれた戦士たちとその後ろに控えるロロ・魁。それらを見たターバンがにやりと口をつり上げて笑いを浮かべる。
　じりじりと空気が緊迫していく中……悪乱比亜軍団がさっと下がり、その中から一人の男がマイクを持って進み出た。
「初めまして諸君……、わたくしがラス・ボースである。わざわざ負けにステージに上がってもらい、大変感謝している」
　ラス・ボース……青色の派手な衣装を着ている。燕尾服のような服の上に、とがった肩パット付きの黒いマント、先端にL字のような鋭角のあるブーツを履き、鈍色の蝶のマスクをつけている。
「このような状況にもかかわらず、チケットを求め、負ける姿を見るとは、どうやら寝子島で君たちに味方をする東軍の観客諸君は大変酔狂らしい。闇討ちに屈した正義など、もはや正義ではない！　ふはははは！」
　ラスの尊大で、完全に馬鹿にしたような態度に怒り狂う東軍の観客。
　そんなステージ上のラスに相対するように一人の男が進み出る。
「……それ以上は言わせない。皆を馬鹿にするのかい？」
　マスクで顔を隠しているが、志波高久だ。
　静かな怒りをたぎらせて、ゆっくりとリングへと進み出る。
「ヒールは盛り上がる。が、試合外でやるのはやりすぎだ。その根性を、この『マスク・ケーリン』が正面からたたき折ってやろう！」
　カーンッ！
　東軍の残りのメンバーがリングアウトする中、高久はゴングが鳴ると同時に急襲する。
　なお、かぶっているマスクは競輪のヘルメットに似せたもので、色は白である。
　こうして、試合が開始された。

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