助太刀上等ッ！　VS闇の悪乱比亜（アランビア）軍団｜リアクション

助太刀上等ッ！　VS闇の悪乱比亜（アランビア）軍団

【VSドクターローズ　荒れ狂う毒の魅力】
　
　羽生碧南が最初に気になったことは、相手がガムのようなものを噛んでいることだ。
　それを、相棒である奈良橋博美も気づいていたが、たいしたことは無いと思っていた。
「あら、ガムを噛むのはよくあることよ？　リラックス効果でね」
　素人ね、と言いたげな視線を向けるドクターローズは余裕の表情である。
　ちなみに、ボディラインがきっちり出る黒のライダースーツのようなものを彼女は着用して、その上に白衣を着ているので違和感がものすごい。
　それ以外で、何か不気味さを感じながら試合のゴングが鳴る。
「さて、遊んであげましょうか」
「お先！」
　ローズがゆったりと、前に出ればそこに碧南が挑む。
（ファイトマネー３５０００円……これだけあれば……うふふふ。乙女ゲー4本はいける！）
　と、邪なことをハーフパンツの体操服とバスケットのゼッケンをモチーフにしたようななじみやすそうな衣装に身を包み、バスケの俊敏さを生かして、　さっと間合いをとり続ける。
「うふふ、そんなに動いて良いのかしら？」
　しかし、それに併せて間合いを計るローズは余裕でガムを噛んでいる。
「いくよっ！」
　碧南が攻撃を仕掛ければ、あっさりとローズはそれを躱す。
　ローズはぐっと、碧南に迫り逆劇を加える。
「お馬鹿さんね」
「あぐっ！」
　叩きつけるような裏拳がもろに胸の上のあたりに当たる。
　そしてそのままナックルを連発して当ててくる。
（※もちろん、連発は反則になる）
「レフリー！　どこみてんだ！」
　待機している博美が叫ぶが、レフリーは見ていない、というか気づかないふりをしている。
「ほらほらっ！」
　ローズの連続攻撃が碧南に当たる。
「むぅぅぅ……とりゃっ！」
　だんだんと、追い詰められていく碧南、しかし、相手に食らいつくようなヘッドバットの一撃を接近していたローズにぶちこむ。
「っ……！　生意気。にわか仕込みにも限度があるでしょうに！」
　一瞬だけ後退するローズ。効いている。
「確かに、こっちは仕立ての即席レスラー……でも、だから何よ？　私は戦いたいから戦う、それが私の正義！」
　そう言って、そのままミドル、ローとキックを打ち込む。
　が、若干動きが鈍い。
「あ……れ？」
　がむしゃらに、近づいて攻撃をするが、力が出ない。足下がふらつく……。
「うふふふ、そろそろかしら？　近づきすぎると毒が回るわよ？」
　無味無臭で、ちょっとした感覚を狂わせるものだ。死に至るものではないが、なんというか、燃えてきたところを思いっきり阻害するプレイである。
「うぅぅぅ！」
　悔しそうにローズを見る碧南。
　しかし、ゆっくりと後へとふらついて尻餅をつく。
　今までのダメージもあるようだ。
「そのまま後に手を伸ばして！」
　博美がとっさに指示を出す、ふらつく手を後ろに伸ばそうとするが……。
「そうは、させない！」
　ローズが思いっきり碧南を踏みつける。
「あぁぁぁぁっ！」
「そのままお逝きなさいな」
　すっと、ローズが宙に舞うとそのまま肘を落としてくる。エルボードロップである。
　どんっ！
　という音と共に、碧南がぐたりとし、そのままローズがピンフォールを奪いに行くが。
「……させるか！」
　すかさず、博美が乱入し、ローズに攻撃する。
　ローズはさっと離れると、息を乱した様子もなく博美と向き合う。
　その間に、仲間からの呼びかけに気がつき、ゆっくりと碧南はリング外へと転がり、そのまま医務室へと担ぎ込まれたのであった。

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