和装パーティへようこそ！｜リアクション

和装パーティへようこそ！

百人一首大会に終わりが近づいてきていた。
よく通る声で読み上げていた五郎八と代わり、後半の札を零が読み上げる。
相変わらず取り手の４人は俊敏に反応するが、いささか零の声が睡魔を誘っているのも事実のようだ。
特にシダ、ラッセルの２人はお手つきの回数が増えてきていた。

「だめだ、このままじゃまずいぞ。なんかすげーねむい。なにあの人こわい」

ラッセル３回目のお手つきの後、とうとう頭を抱え込んでしまった。

「上の句全部読んでるわけじゃねーのに、なんでこんなに
睡魔を誘うんだ！」

仕様です。

「うう、シダ坊主に愛されてるでも坊主もういないよ」

どうやらシダは愛すべき坊主札をすべてとり切ってしまったよう。
残るは優華と修の一騎打ち。果たして栄光を手にするのはどちらなのか。

「さて、あと残すは３枚となったわけじゃが……現時点での獲得数は両者ともにほぼ同数とみていいじゃろう」

「そうね。とてもいい勝負だわ」

零の言葉に五郎八が返す。

「最後まで気がぬけないわね」

「では、続きに参る。あらしふく――」
「はいっ」

「あさぼらけありあけの――」
「はいっ」

「めぐ――」
「はいっ」

「……これで100枚終わりじゃ。結果発表といたそうのう」

零に促されて各々がとった札の枚数を数える。
結果はこうなった。

シダ美穂戸 18枚
桜井ラッセル 22枚
獅子尾優華 29枚
八神修 31枚

「優勝、八神修殿」

うぉおおおお！！！

いつの間にか周りを囲んでいたギャラリーから歓声の声が上がる。
優華と僅差で優勝を果たした修は照れ臭そうにはにかんで見せた。

「実に見事でござった……これからも和を大事にのう」
「おめでとう。よかったら歌留多同好会に入部しない？」

賛辞の言葉を述べる零と、自然に入部を誘う五郎八。
２人共に感謝を述べて、修は頭を掻いた。

「八神くん、おめでとう」

弥生先生が景品と書かれた箱を手渡す。

「これが今回の優勝賞品よ。受け取ってね」
「ありがとうございます」

ぱちぱちぱち
まわりから拍手が沸き起こる。

「ちなみに八神くんの一番好きな歌はどれ？」
「かくとだに　えやは伊吹の　さしも草　さしも知らじな　燃ゆる思ひを、ですね」
「あら、藤原実方。なぁに？伝えられないような恋をしているのかしら」

弥生先生の言葉に、修は頬を染める。
そして小声で呟く。

「やっぱり先生には敵いませんね」

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