【体育祭】部活対抗リレー　―つないで、魅せて、走りぬけ―｜リアクション

【体育祭】部活対抗リレー　―つないで、魅せて、走りぬけ―

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＊花に始まり、花に終わる
「リレー、出ましょう！」
　部活対抗リレーの参加チーム募集が始まった頃。本条小萩は華道部のメンバーに提案した。それを聞いた伊勢エリカは僅かに口元を綻ばせて
「部活対抗リレー、か。……面白い。参加しよう」
　とその提案に乗り気に。そして選手となったメンバーがこの２人と秋ノ宮こまち、丹羽紅葉であった。
「リレーのバトンは『部活動に関係のある物』を用意する、とあるわね。どうしましょうか」
　こまちが要項を読みながら提案があるかと聞いてみると、すかさず小萩が手を上げる。
「剣山がいいとおもいますっ！　お花を活けながら走るんです！　リアクション芸にもなって一石二鳥です！」
　小萩にしか出来ない独創的なアイデアですねっ！　と『どやっ』とした笑顔で提案する小萩だが、エリカが面白そうだが、といった上でぽつり。
「握りこむと痛くはないか？」
　彼女の視線は手入れされた剣山に向けられている。その鋭い針を見、意見したのだ。あっ、と小さな声を漏らす小萩。どうやらその点を見落としていたらしい。
「だったら、花束はどうですか？　１人１種ずつ加えていって最後に花束が完成したらステキだと思います」
　その提案は中々いいな、と思う３人。エリカが「良いアイデアだな」と感心する。
　どんな花にしよう、と誰かが言えば紅葉が「そういえば」と思い出したように口を開いた。
「私達は皆、花や植物に関する名前なのね。だから、『モミジ・エリカ・ハギ・コマチソウ』を持ち寄ってブーケにしていくバトンとかどう？　この４つは花弁や葉の数が多いから走って散っていく様も綺麗に見えると思うのだけど」
　そして、走者の順番は足していく花の色のグラデーションが綺麗に見えるようにしたい、と付け加えれば、頭の中でイメージしたこまちは少しうっとりし、静かに頷く。
「萩さんと丹羽さんの案はいいわね。それぞれの名前の花でグラデーションを作っていくなんてロマンチックだわ」
「リボンを添えるなら、最初は赤1色、2番目の人は黄と橙、3番目の人は緑、青、藍の3色、アンカーが紫を足して虹を作っていくと素敵じゃないかしら？」
　と紅葉が付け加えると、イメージはより鮮明になる。エリカは「そうだな……」と呟いて、それぞれの花の色を思い出しつつ口を開いた。
「そうなると、走る順番もそれに合わせたほうがいいだろう。私は３番目になるな」
　　このように走る順番も決まってしまった。申し込み用紙に色々書きながら、こまちはふと、思いついた事を口にする。
「今思ったのだけれども、花と一緒にリボンも追加していってはどうかしら？　こっちの方も最終的に虹を作れたらとおもうのだけど」
　それには皆賛成で、早速申し込み用紙も完成する。一同はそれを提出しに行くのであった。
　因みに、エリカはその時「もしかしたらカメラを向けられるかもしれんな」と思い、表情を作ってみたりするのだがそれはここだけの話である。

＊それは、勝利を掴むために
　一方剣道部。ここでは春賀幽が真剣になにやら考えていた。
（リレーメンバーもバトンも、本番の衣装も決まりましたねぇ。今回は剣道着で走るから……）
　ふと思ったのは「普段の部活では道着、帯刀状態で走る練習はしていない」という事だった。ならば、自分に出来ることはおのずと見えてくる。
（帯刀状態での走り方とか、構え方とか、早くて無駄の無いやり方を教えたほうがいいよねぇ）
　思いついたら即行動。幽は早速リレーメンバーに提案する。そして練習の一環としてそれは組み込まれ、剣道部のメンバーは優勝を目指し一致団結するのであった。蛇足だが飲み込みがいいのかリレーメンバーは程なくして幽が教えた事を一通り覚える。そしてリレー前日までにはかなり完璧に近い形になっていた事を付け加えておく。

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