コズミック焼きそばパンをこの手に！｜リアクション

コズミック焼きそばパンをこの手に！

　開幕を告げる鐘は、ひっそりと鳴った。

　窓から降下する空中部隊。
　それとは別に、廊下を進む人影。

（……？）
　意外とひっそりしている廊下を進みながら、酒浸朱蘭は疑問を抱いた。
。
　前回はもっとハデだったような気がする。
　作戦なんてなくても、楽しく飲んで脱いではしゃごう、というコンセプトのもとで購買部に向かった彼女。
　なんとかなるか！　と、お気楽に割り切っていた。

　しかし、なにか妙である。廊下が異様に静かだ。
　息せき切ったような風情がない。

　その傍らには奈良橋博美。
　彼女は今回も、二番手ポジションから全体を伺う作戦だ。

　だが、彼女も異変を感じていた。

（……）

　そういえば生徒会で、風紀委員がどうとかの議題が上っていたような気がする。

　薄暗い階段では、八神修がカメラを構えていた。
　目線であいさつし、朱蘭が走り去る姿を撮影していく。

　朱蘭は首をひねる。
　普段から親しい修だが、今日の彼は一際疲れている様子だった。
　それに、何か考え事をしている様子でもあった。

　修の『普通の焼きそばパン好き』は、いまや寝子高の周知の事実となっていた。
　
　その修が、今回は傍観者として参加している……？
　謎は深まるばかりだ。

　一階フロアが見えてきた。後はここを走り抜ければ、渡り廊下だ……。

　その時。
「待ちなさい！」
　背後から声がかけられた。
「風紀委員です！　廊下は走らないでください！」