猫鳴館、修繕強化週間｜リアクション

猫鳴館、修繕強化週間

●日曜日は鍋パーティ

「防犯モードはＯＦＦにしたし、停電も直しました～。ほんとにすみませんでしたぁ～！」
　ぺこりと頭を下げたのは初島優。骨削瓢はニヤニヤ、草薙龍八はそっぽを向いて、ふたりとも謝るつもりなんてこれっぽっちもなかったが、邪衣士に両の手でそれぞれ頭を押さえられて、渋々ながら頭を下げる。大田原いいなはある意味被害者だったが仲間と見做され、とばっちり。
「こいつらには俺がしっかり反省文を書かせるから許してやってくれ……というわけで、猫鳴館および寮外から手伝いに来てくれた皆の衆！」
　大部屋に集まった一同がわくわくと士を見つめる。

「修繕お疲れ様！　鍋パーティだ！」

「家具とか修繕に金を使うのは御法度だが食事に使う分には問題ないよな？　金こういう時に使わないとな」
　そう思った士は星ヶ丘寮に行った帰り迷った際に、ちゃんと鍋の食材を手配しておいたらしい。
「もっかい停電させる～？」という優に、
「闇鍋は俺が全力で阻止するぜ。水炊きだ、水炊き」と如月庚。「食い物を粗末にするんじゃねぇ」
「どんどん食ってくれ！」
　秋風透が差し入れてくれた裏庭菜園の野菜がぐつぐつと鍋の中で揺れている。
「菜園で私がうえた野菜で鍋につかえそうなのをチョイスしてきたよー」
　月守紗智も野菜を投入。
「俺の部屋で栽培したもやしを持ってきたぜ」と屍骸。「俺の部屋ぁ猫鳴館の中でも群を抜いて日があたらねぇ場所なもんでな、良く育つんだよこいつが」
「冷蔵庫に入ってた、ちくわと豆腐を投入するよ」と雨崎荒太郎。
　ちなみにちくわは旧市街の『魚新』のもの、豆腐は『西野町とうふ店』のものだ。
「私はお肉を沢山持ってきたよ！」と天馬ひびき。
「ちょっと待って」と逆巻天野が寺育ちゆえの配慮を見せる。
「お肉を食べられない人もいるから、取り分けよう」
「俺は食材持ってきてないから、小遣いをカンパだ」と龍目豪。
「食材もカンパもないけど、相伴に預かりたいものだ。労働の後の飯は美味いだろうし！」というちゃっかりものは伊賀解理。
　そして、解理の言うとおり、労働の後の鍋はほんとうに美味しかったのだ。

「さて。今回の修繕報告、頼む」
　士の言葉に、鍋をはふはふしながら、みんな口々に発言する。
「掃除はばっちりだぞ。廊下もピカピカに磨いた」
「屋根も竹葺きになって雨盛り箇所が減ったぞ」
「壁もひび割れてたところ、ちゃんと直したよ」
「防犯モード改造のうち、竹槍もどきと水槽とバタバタドアは壊れましたー」
「大部屋の金ダライと、階段の滑り台は無事だよぃ」
「金ダライは普段は外しておいてよ。危ないから！」紗智が唇を尖らす。
「頼むから、滅多なことじゃ防犯モードが発動しないようにしとけよ」士も釘を差す。
「廊下は一部抜けたけどそれも修繕されたし」
「窓ガラスは日常茶飯事だし」
「会長の部屋は……まあ、いいんじゃね？」
　本人がいないのをいいことに適当なことをいう者もいる。
「大きく見れば成功だろ」
「だよなー」
　まあこのあたりは猫鳴館クオリティ。

「ところで……俺の部屋がホラーになってたんだけど、誰か知らない？」
　荒太郎がみんなに訊ねた。
「あっ、それ、俺！　お前の部屋だったのかー」
　ホラー愛好会の先輩で部長の透がにこやかに答える。
「力作だったろ。気に入ってくれたか？」
「えっ」
「そういや、なんかお化けみたいなのも見たぜ」
「ええっ」
　瓢が茶々を入れる。
「雨崎はん、ホラー部員として何か一言！」
「もちろん直してくれるんですよねー、先輩？」
「あははははははははははははは」
「うふふふふふふふふふふふふ？」
　荒太郎と透の不思議な笑いが長く続いたことを除いては、和気藹々と鍋パーティは進み――。

　もったいないからと苦手なお肉も頑張って食べた天野がぽつりとこういった。
「いつもは独りぼっちだけどこうして皆のために、あるいは皆で何かするの……温かくて、いいね」
　ほんとだね。
　みんながにっこり、頷いた。
　もっとも。
　その後、天野は熱い復讐心をもって龍八の椀だけ激辛にしてやったのだけれど。

●エピローグ

「はーい。もっと寄って寄って～！　いくよー」
　カメラのタイマーをセットしたひびきが大慌てでみんなの中に入る。
　鍋パーティのあとは、鍋に参加しなかった人も加わって、今回の修繕に関わった全員で、記念撮影。
　パシャリ！
　雨あがりの空のもと。
　修繕を終えた猫鳴館と、思い思いのポーズをしたみんなの姿が、写真の中に収まった。

　――余談だが。
　このときひびきは修繕された猫鳴館をあちこち撮影し記録を取った。
　それは、綾辻綾花の書いた地図――地下帝国は歩いてみたもの結局よくわからなくて、うまく地図に書き加えられなかった――と、士が用意した報告書を添えて、海原会長に提出された。
　猫鳴館廃寮なんていわせない。
　ちゃんと修繕しましたよ。証拠もあります、というわけだ。

　――そしてもうひとつ余談。
　龍八が見つけた、シャワー室へ続く隠し通路は、龍八自身によって鍵を掛けられた。
　その中には龍八の手によって彫られた今回の修繕に纏わる棟礼――板に修繕の由緒、年月日、関わった人の名前を彫った物――が封印された。その板を彫る際、ネズミ騒動のエロ本テロの際にメモしておいたエッチな本の持ち主は本の名前を補足で入れたそうだ。
　……性癖を語り継がれたくない者は、命を賭してこの封印を守るべし……。

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あとがき

担当マスター：笈地行
ファンレターはマスターページから！

ゲームマスターを務めさせていただきました、笈地行（おいちあん）です。
前回のネズミ騒動に引き続いての方も、今回はじめましての方も、
ご参加いただきありがとうございました！

さて。今回あまり個別コメントを書く時間がないのでこちらでアクションについて。

みなさんのアクションのおかげで猫鳴館は無事建っております。
しかも以前よりちょっぴり輝いて。（若干壊れた箇所もありますけど）
破壊活動と修繕活動は半々くらいかな、と予想していたのですが、
思いのほか真面目に掃除・修繕に当たってくださった方が多くて、
猫鳴館への愛を感じました。みなさんお疲れ様でした！

とくに、屋根の修繕に当たってくださったみなさん、GAではなかったにも関わらず、
とてもよくアクションが連携していました。竹での屋根作り、わたしも未体験なので、
実際にやったらもっと難しいのかもしれませんが、アクションとしてよくまとまっていたので
大成功とさせていただきました。奈良橋博美さんの調整があったのも良かったですね。
この屋根がうまく行ってなかったら、雨で被害を出そうと思っていたのですが……
成功でしたので、雨の被害はほとんどなしです。
それから、ガイドに登場してくださった斉田珠喪さんにもこの場をお借りしてお礼を。
ありがとうございます！

ドタバタのネタ改造も猫鳴館らしくて楽しかったです。
仕掛け人があちこちちょろちょろしてますので探してみてください。
そして、ネタ改造にひっかかってもＯＫとおっしゃっていただいた方もありがとうございます！
いろいろひっかかっていただきました。

そして猫鳴館の食事情がかなり恵まれていることもわかりました。
一方、猫鳴館のエロ本事情は……大変ですね……（苦笑）
常盤四月さんには【エロ本テロリスト（ＢＬ専門）】の称号を捧げます！

ネズミ騒動で登場したねずの鳶色彦におすそ分けしてくださった方もありがとうございます！
登場しませんでしたが喜んでますよー。
今回は、綾辻さんが作っていた地図が欲しいなーと思いながらの執筆でした。
もっとも、猫鳴館に完成形はなく、今後も補修やら改造やら破壊やらで、
住みやすいように（？）変化していくのかもしれませんが。
ではまたいつかご縁がありましたら、よろしくお願いいたします。

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