「『
猫鳴館、修繕せよ!』『
みんなの力で!』……じゃと」
猫鳴館を訪れた
斉田 珠喪は、玄関先にそんな張り紙を見つけ、立ち止まった。
張り紙は一枚ではない。誰の仕業か知らないが、何枚もべたべたと貼ってある。
珠喪はその張り紙たちを一瞥し、それから、一歩下がって猫鳴館の有様を確認する。
「……確かに、修繕くらいはしたほうがよいじゃろうがな……」
なにせ、屋根には穴が開き、もともと汚い玄関先は、屋根やら壁やらの破片が散らばっている。
「そういえば、
ネズミがどうとかいっておったか……」
ちょうど学校から帰宅してきた
雪見 大福が珠喪に声を掛けた。
「中に入らないの?」
「なに、この張り紙を読んでおったのじゃ」
「張り紙?」
大福も、玄関先の張り紙を読み上げる。
「ええっと……『
廃寮なんて言わせるな!』『
今週を修繕強化週間にしよう!』……あー、まあそうだよな。この前のネズミ騒ぎで、またボロくなったからな。修繕するんだったら助かるよ。雨漏りするところもあるしさ」
「わらわは、この張り紙の裏の意図が透けてみえる気がするぞよ」
「裏の意図?」
「ほれ、修繕にかこつけてなんとやら、じゃ……」
「あー……」
寮内に、少なからず猫鳴館を改造したいと思っている者たちがいることを、珠喪も大福もよく知っていた。
「おまえたち、どうした?」
「あっ、海原会長! この張り紙は会長が?」
「張り紙?」
帰宅してきた
海原 茂は、珠喪や大福と同じように玄関先の張り紙をまじまじと読んだ。どうやら、自治会長である茂にとっても、初めて見るものだったようだ。
「なるほど、修繕強化週間か。いいアイデアだ」
茂は感心したようにそういうと、寮の中へ入って行った。
珠喪と大福は海原会長の背を見送り、それから再び、相も変わらずぼろぼろの猫鳴館を見上げ……。
「ま、住みよくなるならよいではないか。最近、
星ヶ丘の方から廃寮だのなんだのいう声がするとも聞くし……わらわは、ここがなくなったらちと寂しいぞ」
「そりゃ、俺だってさ……そんなことになったら困るし……それに、なんだかんだいって、やっぱ猫鳴館が好きなんだよな」
「おそらくそういう輩ばかりよ。まあ、きばって修繕すればよかろう」
そういうと珠喪は猫鳴館の中へ入って行った。
大福は、屋根の欠片をひとつ拾ってぽーんと投げる。
「『
猫鳴館、修繕せよ!』……少なくとも雨が降る前に……ってところかな」
こんにちは。
ゲームマスターを務めさせていただきます笈地行(おいち あん)です。
ぼろぼろが楽しい猫鳴館ですが、近ごろ修繕や改装(改造?)をしたいという声が
寮生の中から上がっているようです。
これを機会に、猫鳴館を修繕しましょう、というのが今回のシナリオの主な目的になります。
さて、寮の修繕についてですが、
猫鳴館なので、他の寮のようにお金をかけたりできません。
下記を参考にしてください。
<寮の修繕(改造)について>
業者に頼むのは禁止。親が金持ち、建築会社という理由で金をかけるのも禁止。
下手に金をかけたことが分かると、却って、体面および書類上面倒なことになるため。
高校生の小遣いの範囲で、自分たちの力のみで行うこと。
寮住人以外の友人の知恵や力を借りるのは可とする。
◆猫鳴館住人のみなさんへ
どこを、どのように修繕、改造するつもりか、アクションに詳しく書いてもらえると嬉しいです。
「猫鳴館、ネズミ騒動」 で壊れた箇所を直すこともできますし、
自分の部屋にどこか直したいところがあることにしてアクションをかけるのもアリです。
修繕、改造具合については、自分のお財布具合と相談してみてください。
コミュニティを参考にさせていただくこともありますが、基本的にはアクションのみを採用します。
◆そのほかのみなさんへ
適当な理由をつけて猫鳴館の修繕や改造を手伝いに、あるいは邪魔しに来てください。
GAも大歓迎です。
修繕せよ! といっていますが、
もちろん修繕以上のところへ行っちゃっても構いませんし、
あるいは修繕しない、猫鳴館らしくもっとぼろぼろにする、という選択もあります。
このあたりはみなさんのアクションにお任せします。
相談したりして、好きにやってください。
ちなみに、今週の天気予報は、週の前半は晴れ、週の後半は崩れそうです。