＜宝石人形＞蛍石フローティア｜リアクション

＜宝石人形＞蛍石フローティア

　　【人形と探索隊】

　綾辻綾花は、写真を片手に走っていた。
　こちらも、ねこったーを元にしつつ、フローティアが通ったと思われる場所を歩く人々に手当たり次第声を掛けていく強行作戦に出た。
　確かに効率は良くないかも知れない。
　しかし、それが綾花に出来る精一杯だった。

　──だが、それが功を奏した。写真つきの視覚効果は抜群だった。

　「何っ、お嬢ちゃん！　フローティアを知っているのか！！
　……頼む、一緒に探させてくれ。俺は、あの人形が──フローティアが気に入ったんだ」
　同じくねこったーの情報を辿っていた暗道忍が写真を見て自分の体験を語り、思いを告げて綾花に同行を求め出た。

　「つーか、俺も探してたんだ！　奴、目じゃなくて体まで劣化してやがる」
　写真を見た雨垂ミゾレはフローティアのカートを引いていた小指が目の前で折れ落ちた事を告げた。
　神魂の影響に関与しており、店員ですら知らない事実に綾花と忍の顔が青くなる。
　「人と接点を持ちたい」そういう旨を告げていた事を、忍が２人に告げる。
　ならば話し掛け、そして話し掛けられる事も多かっただろうと、３人が離れすぎない程度に、周囲の人に片っ端から声を掛けた。

　「──あ、数時間前になっちまうけれど、俺も会った。
　でも、それが……一日一緒にいるつもりだったのが、いきなり姿が見えなくなってさ！
　あやめさんが人形…フローティア用の高ＵＶカット用の眼鏡作って、軽自動車でこっちに来てくれるって言ってたけど──
　でも、人形の場所が分からなかったら……！」

　言葉を遮るように、目の前に１台の軽自動車が止まった。
　窓を開けて、浅葱あやめが顔を覗かせる。
　「……彼女用の、眼鏡を、用意しています……
　しかし……サングラスを掛けても……彼女の目には、時間が……！
　場所さえ、分かれば……」

　綾花は改めて思い出したかのように顔を上げた。
　「フローティアなら……予測ですが恐らく──！」