＜宝石人形＞蛍石フローティア｜リアクション

＜宝石人形＞蛍石フローティア

　　【人形は──】

　フローティアは、その金額の殆どを出資をした木原一颯の厚意により、僅かな金額であっても、購入、修繕に回してくれた存在全てに姿が見せられ、そして触れ合えるようにと、店の奥にスペースを空けてもらい、その場に椅子を置いて彼女を座らせた。

　調べ上げていた桜庭円の指示で、根本が足りなかった店内の情報系統は全てが手直しされた。
　フローティアの側には、彼女が座る椅子と共に、もう一脚の椅子が置かれ、綾辻綾花は彼女に写真つきで色々な本を説明していった。
　綾花はフローティアがそれを見えている事を疑わなかった。
　何故なら、彼女はずっと地図と夕焼けのポスターを目にして、それを目的に動いていたのだから。

　結果として、人形に関わりたいと願った全ての人が修繕費を含む融資をしてフローティアを買い上げた。
　今まで売る事を頑ななまでに拒否し続けてきた作り手は、その話を聞き何か察する物があったのか、静かに売却を許諾した。

　元々日の差さない店の奥に置かれた人形は、椅子に座って眼鏡を掛けて。傍の床には場違いにも見える黒のカートと、膝の上には開かれた本が置かれた。
　殆ど痛みの無かった瞳のフローライトは、暗道忍が助言した浄化用音波は流せない代わりに、せめてもと店内に指定した音波を含むという聖歌曲が掛け流された。

　こうして、修理されたフローティアは店の看板娘として生まれ変わった。
　椅子の後ろに、売約済みの小さなシールが張ってあっても、尚いくら出してもフローティアを買いたいという人は後を立たない。

　それでも、今もフローティアは幸せそうに、今日も店内に留まっている。

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あとがき

担当マスター：冬眠
ファンレターはマスターページから！

ご参加して下さった皆様。ここまで読んで下さった皆様。誠に有難う御座います。この度ＭＳをつとめさせて頂きました冬眠と申します。

この度は、『人形だけでなくお店も』という良い意味で予想外のアクションや、人形への強い思いをを頂けましたりして、やはり寝子島はなんと優しい所なのだろうと改めて思わせて頂きました。

一番驚きました事は、動かなくなる事が分かっているフローティアの購入希望の方が複数おられた事でした。理由もその方の思いも様々にて、大変緊張致しました次第です。

ご感想等が御座いましたら、ダイアリー、コメントページへ頂けましたら、是非次回への励み、参考とさせて頂きます。

それでは、この度は有難う御座いました。またお会いできます事を、心から願いまして……。

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