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<宝石人形>蛍石フローティア
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【人形と夕日】
御剣 刀
のろっこんに持続性は無い。だが、人の比較にならないスピードで、街並みの角を2回、同じ方向に曲がるだけで、皆の目をごまかす事ができた。
……刀にも分かっていた。これは人形店の損失を考えればやるべきではない。自分の独りよがりであると。
しかし、それでも。
「もう夕日が……どこかエノコロ岬へいく前に見たい所とかはあるか?」
「いいえ。
もうそろそろ、行かなくては間に合わないかも知れません」
「──急ごう」
一端、胸のポケットに入れていたサングラスを取り出して身につけるフローティアを待って、刀は人の体よりも桁違いに重たいその身を抱え上げて、ろっこん「加速」を繰り返した。
加速していない他者を持ち上げ、運ぶだけでもその負担は計り知れない。
しかし、刀は何度も途切れる都度、ろっこんの発動を繰り返した。
何度と無く繰り返し、エノコロ岬に到着し、フローティアを降ろした時には、息苦しいを通り越し、苦しさのあまり息が出来ない程の有様だった。
「ここが、エノコロ岬──」
フローティアが、岬の先へ立ち感極まった様子で、サングラスを外す。
「……暖かい……」
目を細めながら、日傘を降ろして全身に夕日の光を浴びながら。
泣きそうに細められた瞳に感銘を露にする。
そして、彼女自身も違和感に気付いているのだろう。ゆっくりと、じわりと侵食するように、瞳の色が淡くなり、髪の色が淡く色褪せていく。
「……フローティア、さん……!」
その現象に割り込むかのように、一台の軽自動車が目の前に停止した。
運転席に
浅葱 あやめ
、助手席に
綾辻 綾花
。
そして、
暗道 忍
、
煤内 都々
、
雨垂 ミゾレ
の大の大人2人に青年1人を軽自動車の後部座席に詰め込むように乗せて。
軽自動車の後部ドアを開けた瞬間に、それは当然の如く雪崩れ込むように飛び出してきた。
「あやめさん、つーかなんで俺が後部座席!?」
「まあまあ、少年。女の子一人を野郎の群れに座らせる訳にはいかんだろう?」
「よしっ、奴もいやがんな。……って、壊れるつもりかよっ!」
ミゾレが走って、フローティアが地面に落としていた日傘を手に取り彼女へ掲げる。
その側に、彼にしては急いで眼鏡ケースをその手にあやめが走った。
フローティアの側に来て、眼鏡ケースから眼鏡を取り出す。
「度の入っていない……現状……可能な限り、最高度のUVカット加工を、した……レンズを切り出しました……
この時の為に……あなたの為だけに……用意した眼鏡です……
これで、色を……損なわないで……夕日を見る事が、出来ます……」
差し出されたのは、縁の無いレンズの両脇で止めるツーポイントのシルバーフレーム。ヒンジ部位には小さなアクセントとして装飾が施されている。
レンズまで、彼女の事を思われ作成されたそれを、そっとあやめがフローティアに掛けると、彼女は目を大きく見開いてじっと夕日を凝視した。
遅れて刀が置いてきぼりにして来た、
木原 一颯
、
黒依 アリーセ
、
桜庭 円
、
八十八旗 信彦
も慌てて合流してきた。
刀の行動に対する追求は後だ。今は、フローティアの様子が気になる。
全員が新しい眼鏡を掛けた彼女に注目して、
「目が痛くない……! 夕日がこんなに鮮やかだったなんて」
その言葉に、その場にいた皆が安堵した。
その合間に、フローティアに再度日傘を持たせて。
ミゾレはねこったーの情報を確認して、自分が発端のネタに尾ひれ背びれがついた結果に頭を抱えた。
コメントの中には見てしまった店員が事実無根という言い訳を必死に行っているシーンまである。
「ああ、要領ワリィな。こういうのは逆手にとってこその情報だろうが。
──いいか、お前ら。俺はこれから店に電話をするが、決してコイツに悪いようにする訳じゃねーからな! いきなり携帯奪ったりとかすんなよ!」
周囲が、ミゾレに集中する。
ミゾレは、その場で即座にフローティアに関する事情をでっち上げた。
曰く、フローティアがゴミ捨て場に打ち捨てられていた。
そして、ミゾレ自身が内密に盛り上げて、既に今、一人歩きしている街の噂「歩く人形」を利用し、「今回の騒ぎは宣伝にもってこいである」とその場で店員との交渉を始めたのだ。
「これで、夕日をバックに人と一緒に映っている写真や、日傘を持っている写真がHPや店頭にあれば、客も入るだろーがよ」──その言葉を最後に、ミゾレは通話を終えた。
「OKだってよ。これで、騒ぎも収束するし、指が欠けている理由もつく。すぐにコイツを店に連れ戻さなくてもいいだろ。
つーわけで、人は多い方がいい。お前ら、あの店員黙らせんのに付き合ってくれ」
「え、それは……」
フローティアが緊張で張り詰めた様子でミゾレを見つめる。
「何を隠そう俺はフリーのカメラマンなんだ。
お前も、少しの間なら太陽の光を浴びても大丈夫だろ?
──動かなくなっちまっても、思い出と一緒に写真は残る。悪かないと思うぜ」
「皆さんと一緒に写真に残る……!」
フローティアはとても嬉しそうに目を細め、感慨深そうに呟いた。
そして、この場で顔を出せる面子全員と、そして日傘を差して振り向きざまに微笑むかのように目を細めた姿を写真に収めて。
不意に、何かが欠ける音がして、フローティアは片膝をついた。
正確には──膝の球体関節が壊れて片膝が分離してしまっていた。
周りが息を飲み騒然とする中で、困って笑うようにフローティアは告げた。
「ごめんなさい。これでは、買い手がなくなってしまいますね」
その言葉に反応したのは、一颯だった。
膝を折り、目線の高さを合わせて。彼女の前に跪き、ゆっくり手の甲へと接吻して告げる。
「その様な事はない。君はとても素敵な少女だ。
……どうだろう、例えどんな姿になっても構わない。
こう見えても口座には余裕があってね。私には子もいない。
この歳になって持て余し使い潰すだけの財産。
金銭等些細な問題だ。
──どうか、僕の娘になってほしい。フローティア」
言葉を紡ごうとして先を越され、それを聞いた忍が軽く首筋に手を当て困った様子で苦笑した。
「まいったな。フローティアを買い取って一緒に世界を見る為に、フローライトの瞳を義眼に……などと考えていたのに。
ご老人が迎えたいと言う娘さんを傷物に出来る訳がないじゃないか」
「……でも、フローティアが引き取られたら寂しくなりますね……」
呟いた綾花の言葉に、信彦が納得したように頷いた。
「成程、なるほど。それじゃあ、俺がせめて修繕費位でも出そうじゃないか。
──その代わりに、俺もフローティアちゃんに時折会わせてもらえたらと」
その発案を耳に、刀も鬼気迫る表情で一颯に訴える。
「じゃあ俺も! 俺にも出させてください!
確かに、俺は今は金がある訳じゃありません。
でも──これで終わりじゃない。
この先フローティアを治せるかもしれないし、また自分で動いて話せるようになるかもしれません。
そうなった時に彼女が自由に好きな事ができるようにしておきたいんだ。
あなたがフローティアから自由を奪う可能性があるのなら、俺が店員を説得しても引き取ります。金は必ず払う、だから!」
「それならば……」
一颯の提案は既にフローティアの耳には届かなかった。それが何を示しているのか彼女は静かに理解して。
ただ、取り囲む面子の様子にしばしの時間を要してから、その向こう側にいる円と、その場の全員に万感の思いと共に声を掛けた。
「……ああ、円さん。私は、あの問いに心から迷いました。
皆さんも、引きずり回してしまってごめんなさい。
でも……。私はやはり今日、夕日を見られて幸せだった。
これだけ思ってくれている人がいる……ええ、それだけで、私は幸せで……
私は奇跡的に、円さんの言う両方を手に入れる事が出来たのですね」
フローティアは微笑んでいた。人形の体で変えようの無いパーツでありながら、その表情は満面の笑顔で満ちていた。
動くはずのない口元がその場に見える全員が動いているように見えた。
「ありがとう」
その場の全員に向けられた、声のない言葉と共に、フローティアは動かなくなった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
神話・伝説
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月03日
参加申し込みの期限
2014年11月10日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月10日 11時00分
参加キャラクター一覧
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