寝子島少年探偵にゃん！｜リアクション

寝子島少年探偵にゃん！

「大胆な猫だな！」
　一色は結構肩で息をしつつ、白猫を追う。
「だがオレさまちゃんの敵じゃないんだぜ」
　息を整えながら、一色はフェンスに手をかける。
　白猫がいま目の前でフェンスによじ登り、そして見事着地したのだ。
　ならば一色もやるしかあるまい。
「オレさまちゃんに不可能はないんだぜ。とうっ！」
　フェンスを上りきり、一色はそのまま勢い良くジャンプッ！
　白猫も真っ青の追跡っぷりである。
「さぁ白猫。覚悟を決めるんだな」
　不敵な笑みを浮かべ、一色はじりじりと白猫を追い詰める。
　と、そのとき。
　電子音が鳴り響いた。
　メールの着信音だ。
　一色が携帯を開くと、ねこったーに着信が。
「あれ？　黒猫？」
　目の前にいる白猫と、ねこったーの情報を見比べる。
「ニアピンって奴だな」
　白と黒。
　思いっきり勘違いしていたのだった。

「ネコさーん、どこにいくのー？」
　てってって。
　てってって。
　あさひはカメラ片手に、猫さんについていく。
「あーれー？　ネコさん、ここにごようじー？」
　あさひはたどり着いた場所をみあげる。
　猫は一回あさひを振り返ると、そのまま町役場に入っていく。
「ネコさんもじゅうみん届けするのかなー？」
　以前お母さんが話していた言葉を思い出す。
　もっとも、その『じゅうみん届け』がどんなものなのかは知らなかったけれど。
「あっちにもこっちにも、ネコさん？」
　パシャリと写真を撮り、あさひは町役場に入っていく。