寝子島少年探偵にゃん！｜リアクション

寝子島少年探偵にゃん！

「靴を持って行っちゃうネコさんかぁ。不思議だねぇ～？」
　椎名あさひは、ねこったーで回ってきた由貴の情報に小首をかしげる。
　と、その時だ。
　野良猫が一匹、てくてくとあさひの前を通り過ぎていく。
「あ、ネコさ～ん、少し聞きたいことがあるのですよ～」
　二眼レフカメラを片手に、猫にぶんぶんと手を振るあさひ。
　けれど猫は涼しい顔をしたまま通り過ぎていく。
「あ～、まってください～。ごきげんななめなのかなぁ？」
　てくてくと通り過ぎていく猫の後ろを、あさひはやっぱりてくてくとついていく。　

　八十八旗信彦は今日も今日とて、美少女ウォッチングに勤しんでいた。
「あの子かなり可愛いね～。いやいや、あの子もなかなか。あぁ、どうしてこんなにも世界は可愛い女の子たちで溢れているんだろう！」
　陶酔しきった様子で、信彦は瞳を輝かす。
　究極のフェミニストの彼の目には、顔の美醜も年齢も関係なく、すべての女性が愛らしく写っていた。
　そしてそんな彼は、ふと、空を見上げる。
「そうだ、病院へ行こう」
　なぜ病院なのか。
　空がどう関係あったのか。　
　それはきっと、世界が止まらないのと同じように、信彦の中でも永遠の謎となるのだった。

（靴を盗る猫のうわさは聞いていたけど、まさか、ゆきの靴まで取られるなんて）
　飛吹勘助は携帯を弄りながら、ねこったーの情報に目を疑う。
　そう、勘助は重要な噂を知っていたのだ。
『最近、猫達が子供の靴を奪っていく』
　それは、ここ最近寝子島で流れ始めた噂だった。
（黒猫が盗っていったのか。なら、黒猫を探すべきかな）
　ねこったーから目を離し、勘助は１９０ｃｍもある長身を屈めながら、建物の隙間やら物陰を探し出す。

このページにイラストを設定する