ろっこん・トラブル・シューティング｜リアクション

ろっこん・トラブル・シューティング

【星ヶ丘寮】

　ろっこんにはろっこんを。
　難航している遭難者救助。これに悪いもれいびが噛んでいることは間違いなかった。これに対抗するため組織されたのが、現在星ヶ丘寮の一室に集まる５人だった。一室といっても、和造りの屋敷のような内装の、豪華な部屋だ。
　なぜもれいびが噛んでいると分かったのか。
「戻ってきました……」
　部屋の主、御巫時子のろっこん「鳥の囀り」で、九夜山から飛来してきた鳥たちの報告を集めることができたからだ。
「山はまだ危険ですか……？」
　ベランダの手すりに留まるムクドリは時子の用意した水とえさに口を付けながら、ツイッツイッとさえずり山の状況を話す。
「あら……まあ……」
　和室で休む他のメンバー、笹森清真と桃川圭花と旅鴉月詠は興味深く観察しているしかない。
「空の住人とお話しできるって素敵よね」
　優雅にティータイム中の圭花。それに比べて自分のろっこんの大味なこと、と嘆いてみせる。
「山の中にはまだ……ろっこんで悪さをしている人たちがいるようです……」
　水をぶつけてくる者、矢を飛ばす者、跳躍力のある者。川沿いにある建物に女性を閉じ込めている様子も目撃したという。
「ムクドリさんも、いたずらの標的にされたようです……」
　しゅんとなる時子。
（ろっこんで悪さ……なんて奴らだ）
　清真は拳にギュッと力を込める。
「ありがとうございました……」
　時子がお礼を言うと、ムクドリは空の彼方へ飛んでいった。
「とにかくまだ山は危険がいっぱいということだな」
　月詠が言うと全員がうなずく。
「辛うじて空が安全、か」
　圭花がつぶやくと同時に、初島優が部屋へと入ってきた。
「組み立て完了したよ！」

　星ヶ丘寮の裏手、景観を引き立てる天然の庭園ともいえる草原がある。ここに優の組み立て仕上げた救助ヘリは停まっていた。
「ちゃんと飛ぶんだろうな」
「大丈夫大丈夫！」
　クールな月詠に優は胸を張って見せる。
「運転だって任せてー！」
　優のろっこんならそういうことだってできてしまう。
「よし、準備を整えて出発しようぜ」
　気持ちをはやらせる清真。

　優の無免許運転にて５人、無許可レンタルの救助ヘリにていざ九夜山へ。
「それじゃあ出発ー！」
　周りに気流をまき散らせながら飛び立つ。ひとまず優の組み立ては問題ないようだ。
「鳥さんたちの報告では、遭難した方はこの辺りにいるようです……」
　時子が地図を出し説明する。
「結構深いな」
「ヘリを停めるのはまず無理ね」
　月詠と圭花が口々に言う。
「近くさえ行ってくれれば、俺の能力で……」
　無事でいてくれ。清真は強く願う。