不思議なお面にご用心？｜リアクション

不思議なお面にご用心？

　ふたりはどうやらお面を決めたようだ。真央が得意げに三毛猫のお面を頭にのせると、海美はその隣の狐のお面をかむった。
「海美ちゃんもきまったのだ？　じゃあおじさん、三毛猫と狐と、この黒猫のお面も！　お勘定なのだ！」
　お金を払うと、真央はこほんと咳ばらいをする。
「それじゃあいくのだ！　にゃにゃにゃがおー！」
　ぽん、と目の前に現れた三毛猫。その頭になんと黒猫のお面をかむせてしまったのだ。
「がおーが黒猫になったのだ！　そして真央ちゃんが代わりに三毛猫になるのだ！　にゃーにゃー♪」
　海美も一緒になって手のひらを立てて頭につける。
「こんこん、あぶらあげちょうだーい」
「うんうん！　海美ちゃん似合うのだ」
　楽しそうなふたりの様子をうかがっていた朝人は、買ったばかりのお面に目を落とした。
「……僕も、仲間に入れてもらえるかな？」
　羊はなにも云わず、にっこりとほほ笑んでいる。
　朝人は小さく頷くと、お面をつけてふたりの傍へ歩いていった。
「あ、の……僕も一緒に縁日回ってもいい…かな？」
　どきどきしながら尋ねると、海美はしばらくしてから、あーっと声を上げる。
「朝人くんでしょ？　いいよ、一緒に回ろう！」
「おお、海美ちゃんのお友達なのだ？　かわいい羊さんなのだー」
　真央は両脇に海美と朝人を引き寄せると、デジタルカメラを取り出してレンズを向けた。
「さあ、にっこり笑うのだ！　今日の記念なのだ！　はい、チーズ！　にゃんにゃん♪」
「こんこん！」
「め、めえめえ？」
　パシャリ、とフラッシュが光る。
「よしっと。次はインスタントカメラなのだ！」
　急に始まった真央の撮影会は、海美と朝人をモデルにしばらく続いた。
　撮影会が終わると、真央は二人にラムネを御馳走した。
「さあ、今日は暑いのだ。沢山飲むのだ！」
　朝人も海美もおっかなびっくり栓を開け、冷たいラムネを美味しそうに飲む……筈がビー玉に悪戦苦闘していた。
「真央ちゃん、ビー玉が詰まって上手く飲めないよ」
「ほんとだ。邪魔されちゃう」
「そんな時はほら、ここにあるくぼみに上手くひっかけるのだ！」
　真央のお手本を真似したふたりは、そのあとはすんなりラムネが飲めたようだ。楽しそうにラムネを飲むふたりに、またカメラを構える真央だった。

「楽しかったなあ」
　家に帰った海美は、真央にとってもらった写真を見ながらお面をかむった。朝人と真央と海美、三人で撮った写真は、今日の大切な記念だ。
「このお面と一緒に、しまっておこうっと」
　片手で狐のお面をとろうとし……両手を添えて引っ張った。ぶんぶんと首をふった。
　それでも、お面はとれない。
「あ、あれ？　お面がとれない！？」

　海美がカラクリに気づくまでは、もう少し時間がかかりそうだ。

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あとがき

担当マスター：貝
ファンレターはマスターページから！

お面はできるだけチープな作りがいいです。
人間のリアルな身体と、ファンシーな顔面の対比。シュールさが最高。
そんな貝です、こんにちは。

シナリオにご参加頂きありがとうございました！
初めてのことで至らない点が多かったかも知れません。
なにかありましたら一言頂けると幸いです。

皆様の秀逸なアクションや魅力的なキャラクターには、私も楽しませて頂きました。
リアクションを書いている時はにやつきすぎて、
とても人様に見せられるような顔ではなかったと思います……。

このシナリオがひと夏の思い出となれたなら嬉しいです。
それではご縁がありましたら、またどこかで。

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