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- 種族
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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
歌え！ 笑え！ シング・ア・サンドー
「まさか、ボクがトリになっちゃうとはねえ」
コードの確認をしながら、新井 いたごは息をついた。
「でも、なんだかおあつらえ向きだね。なぎさ、ちゃんとみててくれるといいけど」
考えれば考える程、頭の中は16年連れ添ってきた愛妻のことばかり。
（エプロンかけて台所に立ってるだけでボクに幸せをくれるんだ。あ、でも店先で前掛けをして、タオルをかけてる姿もかわいい……。たくましく魚をさばいちゃうところなんかも惚れ直すなあ。そうそう、このサプライズの他に、結婚記念日当日にアクアマリンの指輪を渡す予定だけど、シチュエーション考えてなかったな、さてどうしよ）
「とうさん！ 司会者さん呼んでるって！」
すばるの声ではっと我に返る。隣で呆れた顔をした息子は、何も云わずステージの方を指さした。
「ごめんごめん、ちょっとぼうっとしてたんだよ」
「どうせかあさんのことだろ」
「流石我が息子。よく分かったな」
ぎこちないウインクを置き土産に、いたごはギターを鳴らしながらステージへ歩いていった。
「かっちけねえ、かっちけねえ！ ご存知参道商店街の魚屋魚新の新井いたごだ！」
中央に着いたところでギターを止める。会場からは早くも拍手が沸き起こった。
「ギターお上手ですね。ハーモニカも持たれているということは、もしかしなくとも弾き語りでしょうか」
「勿論だとも。実は、魚新のテーマソング歌うから応援に来てくれと我が愛妻なぎさを会場に来させてるんだけどね……。ごめんなぎさ、それは嘘なんだ」
客席のなぎさはびっくりして夫のドヤ顔をみつめた。
（やっぱり、何か企んでいたのね）
妻の心配をよそに、いたごの話は続く。
「いや、実は明日がボクら夫婦の結婚記念日でね。あ、拍手ありがとう」
半ば強制的に拍手を強いられ、観客も司会者もとりあえず手を叩く。
「仲睦まじいんですね。おめでとうございます」
「うん。だから、なぎさへのラブソングを歌おうと思ってね。本当のこと言うと、なぎさが恥ずかしがって来てくれないからね。やむをえず嘘をついたんだ」
袖で父親をみているすばるも思わず恥ずかしさから顔を隠した。
だが、いたごのノロケはこんなものでは終わらない。
「そう、シャイなんだな。でもそこがいいんだ。美人だし、演奏も上手い。声だって天使のソレだ。それにいつもは恥ずかしがり屋だけど夜は以外と大胆だったりす……」
がたっと椅子が鳴る音がし、託志は驚いて隣のなぎさをみた。なぎさの顔は真っ赤に染まっている。
「おっと、殺気を感じたのでトークはこのあたりでやめて歌おう。会場から走って逃げられたんじゃ歌う意味もなくなるしね」
「そうしてくれると司会者としても有難いですね。うさぎ屋さんから『そろそろノロケは巻け』の指示が入ってましたし」
司会者の声を無視し、いたごはステージ中央に用意された椅子に腰を下ろし、スタンドマイクを調整する。
「では聞いてください。結婚してから16年連れ添ってくれた我が愛妻に捧げる歌『なぎさ』」
静まったステージで、スリーフィンガーのメロディラインがなめらかに紡ぎだされた。
♪
この16年どうだった？
ボクはしあわせだったよ
ただこうして君の前でギターをひいてるボク
君のあきれる顔にも魅かれつづけてる
ぐちもこぼさず
損得も考えず
誰にもやさしい笑顔
笑顔 笑顔
わかるよ
君の本当の悲しさや
やるせなさ
どうしてそんなに強いんだろう？
そんな君をボクは夢中でだきしめる
本当の君のつよさとやさしさや
心の芯がわかる気がするから
わかりたいから
間奏のハーモニカとギターの音色に聞き惚れているのはなぎさや観客だけではない。
（やっぱりとうさんのスリフィンガーいいなぁ。しかしあれだな、とうさんのコードおさえる左指はセクシーっていうよりエロく見える……なんでだろ？ でもそれでいい音なんだから腹が立つよ）
弦をすべるように動く長い指を凝視していると、向こうの袖口から合図がかかった。
（いち、にの、さん、でいくんさ！）
満月がジェスチャーと口パクで断幕をあげるタイミングを出してくれる。
すばるは両手でOKサインを作った。
（（いち、にの、さん！））
「！ 旦那さんの後ろ、みてください！」
綾花は真っ赤になって俯きがちだったなぎさに呼びかけた。
「粋な演出だな！」
託志も高らかに指笛を鳴らす。
なぎさは少しだけ瞳を潤ませ、ギターを掻き鳴らす夫と、後ろに垂らされた断幕をながめた。
♪
人として
男として
夫として
そばにいて歌いつづけよう
愛してると言いつづけよう
不安にならないように
せめて弱い部分をかばえるように
抱きしめつづけよう
怖い夜がないように
未来を笑えるように
コードの確認をしながら、新井 いたごは息をついた。
「でも、なんだかおあつらえ向きだね。なぎさ、ちゃんとみててくれるといいけど」
考えれば考える程、頭の中は16年連れ添ってきた愛妻のことばかり。
（エプロンかけて台所に立ってるだけでボクに幸せをくれるんだ。あ、でも店先で前掛けをして、タオルをかけてる姿もかわいい……。たくましく魚をさばいちゃうところなんかも惚れ直すなあ。そうそう、このサプライズの他に、結婚記念日当日にアクアマリンの指輪を渡す予定だけど、シチュエーション考えてなかったな、さてどうしよ）
「とうさん！ 司会者さん呼んでるって！」
すばるの声ではっと我に返る。隣で呆れた顔をした息子は、何も云わずステージの方を指さした。
「ごめんごめん、ちょっとぼうっとしてたんだよ」
「どうせかあさんのことだろ」
「流石我が息子。よく分かったな」
ぎこちないウインクを置き土産に、いたごはギターを鳴らしながらステージへ歩いていった。
「かっちけねえ、かっちけねえ！ ご存知参道商店街の魚屋魚新の新井いたごだ！」
中央に着いたところでギターを止める。会場からは早くも拍手が沸き起こった。
「ギターお上手ですね。ハーモニカも持たれているということは、もしかしなくとも弾き語りでしょうか」
「勿論だとも。実は、魚新のテーマソング歌うから応援に来てくれと我が愛妻なぎさを会場に来させてるんだけどね……。ごめんなぎさ、それは嘘なんだ」
客席のなぎさはびっくりして夫のドヤ顔をみつめた。
（やっぱり、何か企んでいたのね）
妻の心配をよそに、いたごの話は続く。
「いや、実は明日がボクら夫婦の結婚記念日でね。あ、拍手ありがとう」
半ば強制的に拍手を強いられ、観客も司会者もとりあえず手を叩く。
「仲睦まじいんですね。おめでとうございます」
「うん。だから、なぎさへのラブソングを歌おうと思ってね。本当のこと言うと、なぎさが恥ずかしがって来てくれないからね。やむをえず嘘をついたんだ」
袖で父親をみているすばるも思わず恥ずかしさから顔を隠した。
だが、いたごのノロケはこんなものでは終わらない。
「そう、シャイなんだな。でもそこがいいんだ。美人だし、演奏も上手い。声だって天使のソレだ。それにいつもは恥ずかしがり屋だけど夜は以外と大胆だったりす……」
がたっと椅子が鳴る音がし、託志は驚いて隣のなぎさをみた。なぎさの顔は真っ赤に染まっている。
「おっと、殺気を感じたのでトークはこのあたりでやめて歌おう。会場から走って逃げられたんじゃ歌う意味もなくなるしね」
「そうしてくれると司会者としても有難いですね。うさぎ屋さんから『そろそろノロケは巻け』の指示が入ってましたし」
司会者の声を無視し、いたごはステージ中央に用意された椅子に腰を下ろし、スタンドマイクを調整する。
「では聞いてください。結婚してから16年連れ添ってくれた我が愛妻に捧げる歌『なぎさ』」
静まったステージで、スリーフィンガーのメロディラインがなめらかに紡ぎだされた。
♪
この16年どうだった？
ボクはしあわせだったよ
ただこうして君の前でギターをひいてるボク
君のあきれる顔にも魅かれつづけてる
ぐちもこぼさず
損得も考えず
誰にもやさしい笑顔
笑顔 笑顔
わかるよ
君の本当の悲しさや
やるせなさ
どうしてそんなに強いんだろう？
そんな君をボクは夢中でだきしめる
本当の君のつよさとやさしさや
心の芯がわかる気がするから
わかりたいから
間奏のハーモニカとギターの音色に聞き惚れているのはなぎさや観客だけではない。
（やっぱりとうさんのスリフィンガーいいなぁ。しかしあれだな、とうさんのコードおさえる左指はセクシーっていうよりエロく見える……なんでだろ？ でもそれでいい音なんだから腹が立つよ）
弦をすべるように動く長い指を凝視していると、向こうの袖口から合図がかかった。
（いち、にの、さん、でいくんさ！）
満月がジェスチャーと口パクで断幕をあげるタイミングを出してくれる。
すばるは両手でOKサインを作った。
（（いち、にの、さん！））
「！ 旦那さんの後ろ、みてください！」
綾花は真っ赤になって俯きがちだったなぎさに呼びかけた。
「粋な演出だな！」
託志も高らかに指笛を鳴らす。
なぎさは少しだけ瞳を潤ませ、ギターを掻き鳴らす夫と、後ろに垂らされた断幕をながめた。
♪
人として
男として
夫として
そばにいて歌いつづけよう
愛してると言いつづけよう
不安にならないように
せめて弱い部分をかばえるように
抱きしめつづけよう
怖い夜がないように
未来を笑えるように
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年09月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年10月07日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年10月07日 11時00分
