みんなで「闇鍋」！―食とは何か？―｜リアクション

みんなで「闇鍋」！―食とは何か？―

「最後は後木真央くんだ」
「任せるのだ！」
　ワクワクという言葉を身体で表現しつつ、鍋から勢い良く引いた食材は――。
「唐辛子なのだ？」
「惜しい。カロライナ・リーパーだ」
　これもまた博士が用意したものらしい。
「カロライナ・リーパーって、あの世界一辛い唐辛子ですか？」
「！？」
　修の問いかけに一同がざわめく。
　辛い唐辛子として一般に広く知られているのは、ハバネロやブート・ジョロキアだろうが、カロライナ・リーパーの辛さはそれらを上回る。
　辛さの指標であるスコヴィル値は、1,569,300SHU。
　ここまで辛いと、いっそ化学的に抽出したカプサイシン（唐辛子の主要な辛味成分）でも食べればいい、という声すらある。
「健康を考慮するなら、止めても構わないが――」
　と、博士が言ったその時、
「……！！」
　真央はカッと目を開き「カロライナの死神」を意味するそれを無言で完食。
　そのまま水を一気飲みしてコテンと倒れた。
　一同、沈黙。
「男らしいのう……女にしとくのが惜しいくらいじゃあ……」
　いち早く抜けだした巌が見事、と言わんばかりに何度も頷く。
「ま、真央ちゃん！　修くん、さっきの薬を」
　そして、みゆきと修が介抱に回る。
「にしても……何でこんな物騒なモンがあんのー？」
　混迷をよそに、玲衣が博士に尋ねたが、
「ん？　何かおかしいかね？」
　と、心底不思議そうな顔の博士に、誰も何も言えないのだった。

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