遠い夏の日が｜リアクション

遠い夏の日が

後奏：夢の後から続く絆

　夢から覚め、人々はまた普段の日常に戻っていく。
　朝の日差しを浴び、八神修は小さなあくびを１つすると、少し寂しい気持ちのまま起き上がった。
（誰の夢かはわからなかったけれど……）
　そんな事はどうでもいいような気がして、爽やかな心地になる。確かに夢だった。けれども、あの夏の日、同じ教室で過ごした仲間なのだ。

　昼になり、修は遠矢護と共にジェレミア・ベルトーニの経営する動物病院へと向かっていた。夢での事を話しながら歩けば、その途中で見慣れた影と出くわす。老け顔で足が長い牛瀬巧だ。
「めずらしいですね、このあたりで会うなんて」
　挨拶もそこそこにそんな事を言えば、巧は苦笑する。
「ちょっと散歩しとってな。ん？それ、お好み焼きとちゃうか？」
「よく判りましたね」
　護が顔を輝かせれば、巧は顔をくしゃくしゃにして笑う。
「まぁ、な。夢ん中でも皆と食べたけど、やっぱり一緒に食べると旨いな。なぁ？」
　その言葉で、彼が夢の事を覚えている、と気づいた２人は、自然と笑顔で頷く。３人は笑いあうと、揃って歩き始めた。顔を上げれば、坂道の先に共にお好み焼き屋にいった綾辻綾花と深縹露草、白沢絢子が手を振っていた。

　『オレンジ動物病院』で、ジェレミアは電話が鳴ったのに気づいた。出れば、どこか懐かしい声がする。それに瞳を細めながら、楽しい時間が過ごせそうだ、と心から笑うのだった。

　――遠い夏の日が蘇った夢は、心に残っている。
　　　忘れもしない、どこかの夢。
　　　見た者全ての記憶に、夢のクラスメイトは……。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
ファンレターはマスターページから！

菊華です。
今回は『遠い夏の日が蘇る』という夢のお話をやらせていただきました。
過去を懐かしみ、「あの頃は楽しかった」とか思う大人の方も多いのではと思っていたらいいお願い事が。
これは渡りに船、と思いやらせていただいた次第です。
な、なんか夢なシナリオが重なっていたのは偶然かなぁ、と思いつつ。

今回は特にトラブルもありません。
皆様には次の称号をプレゼントします。
・遠い夏の日の記憶
夢から覚めた時点で「夢を見た」自覚を得、夢の中のクラスメイトの事を憶えています。
たとえリアルに初対面でもすぐに打ち解けたりできるでしょう。

あと、今回。原因となった人は特に定めていませんでした。
そのため、探すようなアクションはご覧のとおりです。
もしかしたら貴方の何気ない「懐かしむ心」が引き金だったかもしれませんよ？

それでは、このあたりで。また縁がありましたら宜しくお願いします。

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