【ネコミケ】行かねば。フツウに大変なネコミケ＠１日目！｜リアクション

【ネコミケ】行かねば。フツウに大変なネコミケ＠１日目！

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「こ、ここまで大人気なイベントだとは……」

いつも通りの無表情にも、どこか困惑の色が浮かぶ。
恵御納夏朝は、ネコミケの予想以上の混雑具合に面食らった。
人混みは苦手なのに。すこしくらい、詳しく下調べすればよかったかもしれない。
ネコってつくからには、ネコミケにはネコの本やグッズもある……と思ってきたのだけれど。
人の波に流されないように気をつけて、なんとか進む。
今日購入したばかりの真新しいカタログは、人波でもみくちゃにされて既にくたびれてきていた。
そんなカタログを見ながら夏朝が目指すのは、可愛いネコの本やグッズがあるスペース。
目に入ったのは、卓上イーゼルに立てかけられた一枚の写真。
塀の上で丸まるネコが一匹。写真の下には、マジックペンで記された「寝子島猫写真集あります」の文字。
「あった……可愛い、猫さん！」
思わず足を止めると、後ろの人波が背中にぶつかる。
バランスを崩しそうになりながら、人の波を抜けだしてスペースへと流れこんだ。
「わっ、猫さんが……いっぱい！」
猫の写真集以外にも、ポストカードやネコとの生活を綴った四コママンガ誌やらがスペースには並んでいた。
「あの……すみません、これ下さい」
軍資金は潤沢に持ってきていたので、これ幸いとばかりに一揃い購入することに。
「次は……」
カタログに再び目を落とすと、『ネコと遊べるボードゲーム』の文字が目に留まった。
「猫さんと遊べる……？」
小首を傾げる夏朝。どんなゲームか検討もつかないけど、見に行ってみるのもよさそうだ。

◇
「ドリームキャット！」の試遊を続けていた円と刀。
真央が他のサークルの取材に出た後、数匹の猫がふらーっとどこかへ行ってしまったので現在猫と人間が２：２の状態だ。
試遊の甲斐あってか、足を止めてくれる人の数は増えてきたし、ほんの少しだけど買ってくれる人も出始めた。
「まだ赤字分の挽回は遠そうだなぁ。あ、ごほうびゲットー」
そんな円のぼやきに、刀はここに来るまでに見たサークルの売り子さん達を思い出す。
「そういえば、キャラクターの格好をした人が売り子をしていたな。月詠も軍服っぽいの着てたっけ」
視線を周りに巡らせれば、少し離れた島なんかにはコスプレした売り子さんが沢山が居た。
「ああいうの……コスプレ、だっけ。桜庭もやってみたら？」
ひょっとして、自分は周りの雰囲気に呑まれて変なこと言ってるんじゃないか――とも思う刀だったが、実際良いんじゃないかとも思う。
「コスプレかーいいかもなー」
問題は、その予定が無かったので衣装も何も無いということだ。
「まあ衣装ないしな～、明日試しにやってみたら？」
「そうだねー。衣装調達できるかわかんないけど……猫耳カチューシャとかつければ、ちょっとくらいはアピールになるかなぁ」
なんてことを話していると、にゃーくんがいきなりブースの向こうを見て鳴き始めた。
「どうしたのにゃーくん……あっ」
「どうした桜庭？」
「猫くん達だ」
居なくなった猫達が、ブースへと戻ってきた。数が増えているし、さらにどういうわけか、皆、小石や光ものを咥えている。
「拾ったものを自慢しに来た……ってわけじゃないよなあ」
刀が首を傾げていると、猫達は咥えていたものを机に置く。それから、「ドリームキャット！」の箱に前足を乗せて鳴いた。
円はピンと来た表情になり、呟く。
「あっ、買い物のつもりなんだ……」
「ああ、なるほど」
「お手伝いしてくれたし、いいよー。ひとまず予約ってことにしておくね」
ビニール袋を使って、器用なことに円はリュックを作ってみせた。
猫達は当然そのままでは持って帰れないので、「ドリームキャット！」をここに入れて猫達の背中につけて持って帰ってもらうのだ。
「……あっ、半分近く猫くん達の予約で埋まっちゃった」
「……赤字、大丈夫か？」
思わず難しい顔になってしまった。

「猫さんと遊べるボードゲームって……ここ？　って、猫さんがいっぱい居る……」
かけられた声に、二人は顔を上げた。
カタログを小脇に抱えた夏朝が、箱の山と猫達の間で視線を行ったり来たりさせていた
「そうだよー。よかったら、試遊してみる？　もちろん猫くん達と一緒に！」
ね、にゃーくん？　と円が目配せすると、にゃーくんがそれに応えて一声鳴く。
猫と一緒――と聞いて、夏朝の目が輝きを増した。
「……じゃあ、是非」
猫と一緒に遊べるボードゲーム。夢みたいじゃあありませんか。

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