応援！　甲子園！｜リアクション

応援！　甲子園！

○プレイボール！

　いよいよ試合開始。
　寝子高は後攻。守備は順調な滑り出しを見せ、三者凡退のチェンジ。
「予定通りの先発だな。マネージャー、相手のデータを山路に」
「はい」
　桐島監督の指示で、ひびきはデータ表を源太郎に渡す。
「いつもおおきにな」
　その後はビデオを構え、現在のデータの収集も怠らない。
　マネージャーとして、皆の一番かけてほしい言葉をかけつつ、笑顔と大きな声で応援しようと決めているひびきだった。

　応援席では、ブラスバンドの演奏が響いている。
「暑い、他の人達も暑そうだ」
　御剣刀は応援団の近くに陣取っていた。
　野球の事はルールくらいしか分からないが、学校や旧市街の仲間が出るので応援にやってきた。
　暑いし大声で応援をするから喉が渇くだろうしと、スポーツドリンクと水は十分に用意してある。
（水は飲んでも良いしタオルを濡らしたりとかも出来るからな）
　帽子を被って準備万端だ。
「全力で応援するぞ！！」
　負けず嫌いなので勝負事には熱くなる。
　
「よーし、倒れた仲間の遺志を継いで（※死んでません）みみが頑張らなきゃ。応援団は根性あるのみ！　気合とやる気で乗り切って見せるっ」
　気合を入れる実々。
「心配かけたな。鼻血はもう大丈夫だぜ。よっしゃ、全力で応援だ！」
　さっきまで鼻を冷やしていた灸も復活したようだ。
「ママキュー大丈夫なの？　それじゃ声出していこう、みんな暑いけど頑張って！」
「フレー、フレー、寝子島！　フレッ、フレッ、寝子島！」
　刀も、応援団の応援に合わせて声を出す！
「打った！　走れ走れ！　惜しい、次いけるぞ！」
　立ち上がって応援する刀は、応援団員と同じ気持ちだった。

「はっ。（もやしっ子な）八神ぶちょーが熱中症起こさないようにカチワリ氷握らせてこまめにスポーツドリンク飲んでもらわなきゃ」
　とカチワリを渡そうとする美咲紀。
「いや、最近はちゃんと鍛えてるから平気だ」
　苦笑する修だが、美咲紀は譲らない。
「太陽の猛攻は危険なんです。私は園芸作業で鍛えているから大丈夫!　太陽は友達です。
　遮光対策は万全。水分補給もばっちりですよ」
　とマイボトルを見せる。
「ちょっと、今打ったのになんで走らないの？　ホームランじゃないの？」
　不満げな理事長の質問に答える修。
「あれはファウルです。フェアゾーンに入らないので得点になりません」
「ふむ、解説が手馴れてるね」
　校長が感心する。
「そりゃあ椿がアレですから……」
（前回プロ野球観戦のとき解説が大変だったからな）
　修の心の声が聞こえたように、美咲紀が補足する。
「先日も八神ぶちょーとプロ野球を見に行ったんですけどね。１回見ただけでは細かいルールを理解するのは難しいのです」
「そうだな。今回は、ルールより取材優先だ」　
　ベンチの様子、フィールドの様子、応援団の様子をビデオに収めるのを忘れない修である。