応援！　甲子園！｜リアクション

応援！　甲子園！

「あの日も、こんなふうに暑かったな……」
　不破灸は、寝子高の屋上で甲子園での出来事を思い返していた。

（義弘先生……）
　宮祀智瑜もまた、八百屋の手伝いをしながら甲子園に絡んでの出来事を思い出していたのである。

○いざ、甲子園へ！

　夏休みで静かなはずの寝子高に、たくさんの高校生たちや地元住民たちが集まっていた。
　今日は野球部員たちが甲子園へ出発する日である。

　寝子高野球部監督、身長１８０ｃｍの桐島義弘に、１５２ｃｍの宮祀智瑜は駆け寄った。
「これ、持っていってください！」
　智瑜が差しだしたのはは寝子島神社のお守りだった。
「宮祀……ありがとう」
　応援には行けないけど、願いをかけて買ってきたお守りをどうしても渡したくてやってきたのだ。
　智瑜は先生にお守りを渡して、その手を包むように握った。
　出発の時間が来た。
　智瑜はバスに乗り込む桐島先生に向かって叫んだ。
「義弘先生、勝って嬉しくても、負けて悲しくても、泣きそうだったらいつでも胸を貸しますから！」
　桐島は、受け取ったお守りを大事にポケットにしまい席についた。
　バスは走り出す。皆の思いを乗せて。

　組み合わせ抽選の結果、対戦相手は、埼玉の強豪「犬浦学園」に決まった。
　野球部員たちとは別に、希望者に呼びかけを行い応援ツアーが組まれた。
　雨宮草太郎校長、桜栄あずさ理事長、そして応援団の顧問でもある黒崎俊介教頭他、参加を希望した先生たち。
　応援団員、ブラスバンド。そして新聞部ほか、個人的に参加した応援希望者たちが一路甲子園へ向かったのである。

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