全員強制緊縛Day｜リアクション

全員強制緊縛Day

◯
　寝子島神社の境内に真っ赤なランドセルが一つ、置いてある。もう長い間大事にされているのだろうランドセルには柔らかい皺が刻まれている。
　そのランドセルの持ち主は――
「ん～ッ……えいっ！」
　一所懸命に縄跳びを跳ぶ夕鈴翼だった。
　何回かは連続で跳べるのだが、しばらくすると引っかかってしまう。
「もう一回ッ！」
　それでもめげずに翼は懸命に跳んでみる。
　その度に揺れるトレードマークのポニーテールと、小学生にしては育ちが早過ぎる乳がぷるんぷるんと揺れる。
　そうしてやはりというべきか、しかしというべきか、縄跳びを上手くは跳べなかった。
「はぁ……また失敗しちゃいました」
　度重なる失敗で翼の気持ちは萎えていく。
（……ボク、頑張っても上手に跳べないのかな？）
　跳ぼうとすると胸は揺れるし、重たいし、邪魔だし……でも、胸を取ることはできないし……。
（おっぱいなんて、大きくない方が……）
　大きなくりくりとした目に、涙が滲む。
「……う～！　今度こそッ！」
　そんな曇天の気持ちを振りきって、翼はややがむしゃらに縄跳びを跳ぶ。
「えいッッッ！！」
　いつもよりちょっと高めにジャンプして、景気のいい第一跳び。
　それから腕を大きく回して、大きな円を描く。
（……次も、跳べます！）
　地面に両足がついた時、翼は確信する。
　翼は踏ん張る。
　縄が翼の脚に迫る。
　翼はまだ踏ん張る。
　縄が地面を擦れた。
（今ですッ……！　ジャンプ！）
　翼は跳んだ。
「ってきゃああああ！」
　たしかに翼は縄を跳んだ。
　だが解けた靴紐が縄に引っ張られるようにして絡まり、翼は地面にダイブした。
「……い、ったぁ」
　きっと膝は擦りむけているだろう。想像するだけでじんわりと膝が熱を持ってきた。
「消毒、しないと……、」
　それからたしかランドセルの中に、絆創膏を入れていたはずだから……。
　そう思って痛みをこらえて翼は立ち上がろうとした。
　しかし、上手く立ち上がれない。
「って……あれ？　嘘……！？」
　今、翼はお尻を突き上げるようにして倒れこんでいる。
　その上、靴紐に引っかかった縄跳びの縄が、腕を身体に固定するように翼の胸部に巻き付いて、身動きがとれないのだ。
　ちなみに引っかかった靴は脱げ、翼の小さな背中を汚していた。
「な、縄が絡まっちゃいましたっ！」
　しかし今は靴は問題ではない。
「ううう、解けてください～っ！」
　必死になって身をよじる。
　しかし縄は翼の華奢な身体に食い込んでいくばかりで、けっして緩むことはなかった。

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