TOP！～Men's Valentine's Day～｜リアクション

TOP！～Men's Valentine's Day～

　メンズバレンタインデー。
　元はといえば、バレンタインだってお菓子会社の商業的なイベントから始まった告白のチャンスの場なんだ。
　下着で始まる恋や愛、告白があってもいいとは思わんかね？
　私は、思う。
　だからこそ、今回広告を打ったのだ。
　そして今日はメンズバレンタインデー……男の告白の日さ。

　鷹峰颯は、自社の下着の売れ行き、そしてメンズバレンタインデーの盛り上がり具合を確認するべく、様々な下着店を見て回っていた。
　その結果は――
（……うーん、思ったよりも反応がないな）
　チラシのお陰でいくらか認知が広まったはずだが、だからといってお客さんで溢れかえっているという店は一店もない。
（なにか、効果的な宣伝はできないだろうか……）
　そうして颯は重たい頭を抱えて、ビルの外へ出た。
　すると、誰かが颯の頭を軽く小突いた。
「ん？」
　誰だろう。そう思って顔を上げると、それは『誰か』ではなく、小包だった。
　これはいったいなんだろう。颯はおもむろに小包を開いた。

　飛吹蓮太郎は某ビルの屋上の上から、寝子島を見下ろしていた。
「おおー、よく飛ぶな」
　彼の視線の先には、寝子島は勿論のこと、風に揺られる小さな赤たちがあった。
　赤は、遠くへ遠くへと向かうパラシュートだ。
　その先に付いているのは小包。
　そして小包の中身は、勿論下着。
　蓮太郎は叫んだ。
「ハッピーメンズバレンタイン！　俺の愛を受け取ってくれ！」
　蓮太郎の声を引き連れて、パラシュート（＋下着）をどんどん遠くへ飛んで行く。

　そして、二人は出会ってしまった。
　愛の布教活動が、今、ここに始まる。

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