TOP！～Men's Valentine's Day～｜リアクション

TOP！～Men's Valentine's Day～

　メンズバレンタインデーを盛り上げた立役者二人の、その後は……。

　鷹峰颯は教会墓地に一人やってきた。
　その手には、一つだけ手元に残しておいたプレゼントがあった。
　中身は水色の、オンリーワンのパンツだ。
　颯が、わざわざこの日のために準備したものだった。
「やあ、結婚記念日のお祝いに来たよ」
　墓前にプレゼントを供え、颯は笑顔を繕った。
「思えば君に初めて送ったのもパンツだったね……返答に殴られてしまったが」
　あの痛みをいつまでも忘れないように、彼女もまた、パンツを贈られたことは忘れなかっただろう。
「いつかそちらに行くときはまたパンツを送るよ、」
　颯はなんでもない日常会話をするように言った。
　墓は、返事をすることはなくただそこにある。
　時折風が吹き付けても、揺れることさえない。
「それが私の愛の形だからね」
　颯は、プレゼントのリボンを解き、箱を開ける。
　墓石は、なんの返事もよこさないが、形ある愛はたしかに二人の間にあった。

　飛吹蓮太郎は、日が沈んでいく静かな海を眺めながら帰路につく。
　その手にも、一つだけ手元に残しておいたプレゼントがあった。
　中身は赤いリボン付きの純白なフリルパンツ。
　颯が『是非奥さんにも』と言って、用意してくれたものだった。
「君が好きそうなパンツだ……本当に、感謝しないとね」
　昼間の威勢は何処へ行ったのか。蓮太郎の声は、波にさらわれてしまいそうなほど頼りない。
　そうして、最後の一つのプレゼントにもパラシュートを付け――海の彼方へ、飛ばす。
「……これで、届くかな」
　あの世にいる僕の妻へ。
「いつか、この日が当たり前になるといいな。そうすれば僕の選んだ下着を、あの世の果てまでも届けられる」
　堂々と、君に愛を伝えられる。
　そして、選ぶたびに、愛する人の身体を余すことなく思い出せる。忘れずに生きていける。
「……愛してるよ、アリア」
　やはり蓮太郎の静かな声は、波の間に落ちていく。
　そして波は無邪気に翻り、海の彼方へ還っていった。
　

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あとがき

担当マスター：つるこ。
ファンレターはマスターページから！

何も言わなくても、プレゼントをしてくれるなんて！
しかも迷わず女性用！！！
襲う必要なんてちっともなかった。
できた生徒を持って、フジコ先生は涙がちょちょ切れます。

プレゼントしたりされたりした下着、お披露目できるといいですね（にっこり

ということで、ありがとうございました。
大変申し訳ないのですが、今回は個別コメントがございませんが、その分本編を楽しんでいただけると幸いです。

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