【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！｜リアクション

【ネコミケ】萌えろ！２日目の幻想バトルロイヤル！

【閉鎖空間：ネコミケ会場】

<１>

　切り離されたネコミケ会場の西ブース。
　深縹露草は、今まさに絶望という感覚を味わっていた。
　１日目は彼の友人の策略により、何も聞かされないまま『BL本・年齢制限本有のよろずサークル』の売り子として従事させられてしまった。
　２日目は半ば諦めの境地に至りながらもブースに陣取っていたのだが……。

「ホモゥ！　ホモホモ！　ホモゥー！」

　突如降って沸いた謎の腐女子に、売り物の同人誌を食べられているのだ。

「あぁぁ、お客様困ります、購入前の本は食べないで下サーイ……！」
　深縹、為すすべもなく食される同人誌を眺めて涙を流す。
　だが、彼の嘆願は謎の腐女子は一向に届かない。
　深縹が同人誌を取り上げようとすると、腐女子は激昂するので手の付けようがない。
「ホモォ……ホモォォォ……。ホモォ！　ホモォオオォオォ！」
「うがあぁぁぁ、お客様ァ！　鼻フックはやめて下サーイ！」
　哀れ、深縹！　巨大な腐女子の指が鼻の穴にねじ込まれ、そのまま宙吊りにされる！
「って、なんか巨大化してマース！？」
　なんと、謎の腐女子はBL本を食べるたびに巨大化しているのだ。
　ゆうに３ｍは超えている身長！
　漂うイベント時の腐女子特有の血走った眼付き！
　巨大化によってバストサイズは驚異の２ｍ超え！
　しかしブラジャーのカップの大きさは変わらない、残念！
「ホモ！　ホモォオォ！　ホモホモホモ!!!!　ホモォォオオォ！」
　モリモリ成長していき、着ていた服はビリビリと破れ、肌色の面積が広がっていく。
　ただし、なぜか巨大化する身体に対応して、ブラジャーとパンティーも巨大化していく謎の健全仕様だった。
　パンティーのバックプリントには、『ホモの美味しい季節です』と書かれていた。
「ホモォォオォォォーッ!!」
　突如、巨大化した腐人が、そのまま深縹を投げ捨てた。
「ゴムタイナー！？」
　深縹は西ブースの奥へ飛んでいった。
　腐人は目の付くBL本とグッズを食べ漁ると、次の獲物を求めてBLセンサーのアホ毛を揺らしながらさまよい始めた。

　桃原空音と共にネコミケに来ていた邪衣士は、案の定、人混みの中で迷子になっていた。
　熊皮を被っている邪衣が彼女とはぐれてウロウロしていると、会場西側に巨大化するした桃原の姿を視認。
「うん、まずは落ち着こう。状況を整理しようか」
　彼はメモ帳に箇条書きをする。

　１：二次元のキャラクターが暴れてる
　２：空音が巨大化してやがる
　３：なんだこのカオス

「うん、なんというか……また神魂か……。まず元凶を探そう。でっかくなった知人、もとい恥人の対処は後でいいとして」
　邪衣は深呼吸をしたあと、ビッグ桃原を眺めて、思わず指を３回鳴らした。
　彼のろっこん『天の救い』が発動！
　桃原の頭上に、文字通り青天の霹靂が直撃！
「……と思ったが、なんかムカついたから雷落としてみた。まぁ、あれで大人しくなるだろう」
　邪衣の言うとおり、落雷を受けたビッグ桃原のアホ毛が痙攣している。
　ホモゥ……ホモゥ……と呟きながら、白目を剥いてフリーズ。
　これでしばらく暴れだす心配はないようだ。
「さて、元凶を探すか。……それにして、ここは会場のどのあたりだ？」
　まずは地図を手に入れるか、と邪衣はスタッフを探すべく会場をあてもなく歩き始める。